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立川談笑、らくご「虎の穴」

「利きカレー」で富士登山 ご来光は拝めたのだろうか 立川笑二

2017/10/15

PIXTA

師匠と兄弟子の吉笑とともにリレー形式で連載させていただいているまくら投げ企画、29周目。今回の師匠からのお題は「光るもの全般」。かつてないほどの難題に苦しみながら、26年の私の人生で光るものに関する記憶を掘り出してみると、ひとつだけあった。

私が落語家になる前、大阪でよしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人として活動しているときに、テレビの企画で富士山頂からご来光を拝む機会があったのだ。

舞台袖から学ぶ立川笑二さん(東京都武蔵野市) 

私が出演させていただいたのは、大阪の毎日放送にあった「ロケみつ」という深夜番組だった。この番組は若手のお笑い芸人が体当たりの企画を行うバラエティーで、私が出演した企画は「GoGo ご来光! 富士山利きカレーブログ旅」というものであった。

今回はその番組のロケ中の事についてのお話。29投目、えいっ!

この企画のルールは、富士山5合目で13種類のカレーを食べた後に登山を始め、8合目まで登ったところでひとつのカレーを食し、5合目で食べた13種類のうちのどれと同じだったかを答える。正解の場合は山頂まで登ってご来光を拝めるが、不正解の場合は5合目に戻って翌日にやり直しという物であった。

私は3回目のチャレンジでようやく成功できたのだが、この企画の辛さは体力的なものではなく、精神的にくるものであった。私と一緒に登山する番組のスタッフさんがふびんでならないのだ。

当時の私は19歳だったが、担当の男のディレクターさんは40代。このディレクターさんはカメラも担当していて、登山をしている私を正面から撮るために、私の前に回って、後ろ向きに後ずさりするカタチで登山するのだ。3日間も。

これが登山だけならまだマシなのかもしれないが、8合目で私がカレーの種類を間違えて5合目まで下山するときも、後ろ向きで私を撮影しながら下山するもんだから転ぶ転ぶ。おむすびみたいにころころ転がっていく。それでも番組上、弱音を吐くのは私であり、ディレクターさんは私をいじめる立場だ。文字通り満身創痍(そうい)となっているディレクターさんがかすり傷一つない私に対し、「ボロボロじゃないですか。あっはっは」とコメントするのだから、上から見下ろすとわけがわからない。

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