マネー研究所

人生を変えるマネーハック

節約はストレスではない 発想逆転、いかに楽しむか ストレスをマネーハック(3)

2017/10/16

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 今月のマネーハックは「ストレス」というやや異色のテーマです。しかし、お金にまつわるストレスをファイナンシャルプランニングの視点で考えることは、実はストレスを解消する大きなヒントになるかもしれないのです。今週は「節約とストレス」について取り上げます。

■切り詰めることはストレスでは?

 貯蓄ができない、あるいは十分な貯蓄額を持っていない、というのは一つのストレスです。それは漠然とした「将来の不安」があなたを苦しめているからです。

 そのとき、お金を使う金額を減らせば将来へ回す貯蓄原資が得られますが、生活を切り詰め、我慢をしたという感覚が残ります。これをまたストレスと感じる人もいます。

 将来のお金が十分でないというストレスと、そのために家計を切り詰めることで生じるストレスは一見すると、同時には解決できないように思えます。この2つはアンビバレント(二律背反)の関係にあり、どちらかしか解消されないのではないか、と考えている人が多いでしょう。

 しかし、その発想はお金についての固定観念にとらわれている証しではないでしょうか。マネーハック流に考えれば、節約は必ずしもストレスではありません。やり方次第でストレスを感じずに節約できるからです。しかも、貯蓄を実現することで将来のストレスの芽を摘むこともできます。これこそ二律背反どころか、一挙両得ではないでしょうか。

■節約は楽しめばストレス解消に

 私は節約の話をいろんなところでします。iDeCo(個人型確定拠出年金)の話をするときですら、税制メリットや運用テクニックと同じくらい節約の話をします。なぜなら、節約ができない人はそもそも将来に向かって資産形成の原資を捻出することができないからです。むしろ、老後の資産形成を考える第一歩は「目の前の節約」といってもいいくらいです。

 セミナーで節約について触れるとき、必ず話すのは「節約は楽しむ」「節約は楽をする」という「楽×楽」理論です。誰でも節約は苦しいことと思い込んでいます。実行には努力や根性が必要だと考えている人もたくさんいます。それが間違いの始まりです。

 苦痛や苦労が伴う節約は、それそのものがストレスになってしまいます。仮に毎月1万円の節約を実現しても、ストレスで体調を崩して仕事を休んだり、マッサージを必要としたりしては意味がありません。

 マネーハックの基本である「発想の逆転」で考えてみてください。節約は楽しむべきです。

 例えば、「このスーパーマーケットの『水曜お菓子10%オフデー』で買いだめしておけば、いつものお菓子をいつもと同じだけ買っても月500円浮く」とか、「ネットショップで2リットルのペットボトルの最安値を検索していたけれど、それよりもリーフティーを水出しすればちょっと高級な茶葉でも50円以下じゃないか」のような節約はむしろ楽しいものです。

 私は節約は賢くないとうまくできないと考えています。我慢して出費を減らすだけなら誰でもできますが、それはストレスを自分で抱え込むことでお金の流れをせき止めているだけだからです。

 これに対して、上手な節約はプロセスそのものを楽しむことができます。これはストレスではありません。むしろストレス解消といえるかもしれません。節約の金額そのものより、発見の快楽や心地良さのほうに目を向けてみてください。

■「同じ満足を安く買う」という発想

 節約の定番は、「同じ物をより安く買う」ことと「物を買う量を減らす」でしょう。

 ネットをリサーチして、10円でも安いショップを見つけることにこだわっている人がいますが、確かに同じ物ならより安く買うに越したことはありません。実店舗で安値調査をしてみると同じ物でも50~100円の価格差が生じていることはよくあります。積み重ねるとあっという間に月数千円の節約になります。

 このように安値買いにはこだわるべきですが、ほどほどにしておかないと検索に要する時間のほうがもったいない、ということになってしまいます。

 また、ストップして消費量を減らしたり、購入費用を減らしたりするのも節約の定番です。私も20歳代の頃に試みた節約では、とにかく当たり前と思っている出費、趣味の出費などをすべてストップしてみたことがあります。それなりの効果は表れましたが、すべてを削り続けると生きがいもなくなってしまうことに気がつきました。

 買い物を我慢しすぎると、趣味や生きがい、リフレッシュのための支出すらストップしてしまい、むしろストレスになるので注意が必要です。そうならないためには、「同じ満足をより安く買う」のがコツです。

 まず、本人にとってそれほど満足度が変わらない場合、より割安なサービスが世の中にあるならそちらを選べば、苦痛がないうえに節約できたという快楽が得られます。

 格安スマートフォンに切り替えたり、衛星放送をネット配信サービスに切り替えたりするケースはまさにこの例です。また、有名メーカーや高級ブランドへのこだわりを一度捨ててみたら、格安の食材や割安なアパレルブランドの服も悪くないと思えたりします。コーディネートでうまく着こなせるなら、かける費用は大きく減少します。

■節約を快楽に感じれば最高

 同じ金額の節約をするにしても、ストレスを感じるより、感じないほうがいいに決まっています。「節約=ストレスの源」という発想から自由になれる人は、支出を削ることをストレスと感じなくて済みます。

 節約のチャレンジは「快楽のふ化器(インキュベーター)」だと考えてみるといいでしょう。何せ、今までより使うお金は減って家計は好転し、かつ節約そのものは苦労どころか気持ち良いものになれば、これほど最高の方法はありません。

 最初から「節約は苦しい」と決めつけずに、チャレンジしてみてください。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
 AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

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