知美 ちょっと待ってよ! 男性の平均寿命は約81歳だから貴之はそれでいいかもしれないけど、女性は87歳なのよ。私が平均寿命まで生きたとしたら、ぜんぜん足りないじゃない! ねえ、どうすればいいの? 教えて佳奈ちゃん!

佳奈 知美さんが65歳までパートを続けるのがベストじゃないかしら。こちらがお二人とも65歳まで働き続けた場合のシミュレーション。お二人ともご存命だと仮定して、貴之さんが89歳、知美さんが87歳までは貯蓄が残る計算よ。

図6 夫婦ともに65歳まで働いた場合の生涯収支
図7 夫婦ともに65歳まで働いた場合の金融資産の推移。貴之さんが89歳、知美さんが87歳の時点まで金融資産が残る

知美 あー、よかった。それに、よく考えたらマンションもあるんだった。いざとなったら売り払えば何とかなるわ。

貴之 うう、いま住宅ローンを支払っている立場からすると切ない話だ……。

貯蓄の一部を投資に回したら?

知美 ところで佳奈ちゃん、来年から「つみたてNISA」が始まるってニュースを見たんだけど、投資で老後資金を増やすことってできるの?

佳奈 株式も投信も元本割れのリスクはあるので、「確実に増やせる」とは言い切れないわ。ただ、世界経済が成長を続けていくという前提に立てば、長期的に資産が増える可能性は高いと思っているけど。

貴之 なるほど、余裕ができたら投資もありかな。佳奈さん、僕らのケースで投資を始めたら、定年までに老後資金の足しになるのかな?

佳奈 ……現時点のお二人の家計では、投資に回せる余力はないかと。

貴之 うっ、手厳しい!

佳奈 仮に、家計に余裕が出てくる53歳から定年直前の59歳まで、7年間にわたり「つみたてNISA」の上限額(年間40万円)いっぱいを使って投資したとしましょう。昨今の市場環境からすると若干高めかもしれないけど、年率5%で資産が増えたとすると、元本280万円に対して利益は20万円ほどになるわね。

貴之 うーん、老後資金がガンガン減っていくシミュレーションを見ちゃうと、ちょっと心もとない金額だなあ。住宅ローンの返済に回した方が確実かもな。

佳奈 やはり元本が少ないのがネックになるわね。同じ条件で64歳まで積み立てたら、元本480万円に対して146万5000円の利益が出る計算になるわ。

知美 そっかあ。やっぱり投資は早めに始めた方が効果が大きいのね。若いうちから勉強しておけばよかったな。

佳奈 あらかじめお断りしておきますが、前提がちょっと変わるだけでシミュレーションの結果は大きくブレます。あくまで参考までってことでお願いしますね。

知美 ともあれ、ありがとう佳奈ちゃん。今のままじゃまずいけど、手を打てば何とかなるって分かったのは大きな収穫だったわ。

貴之 夢なりし悠々自適の生活……。まあ、仕方ないか。よし知美、豊かな老後に向けて、定年後も二人で手を取り合ってがんばろうじゃないか!

知美 あら貴之、あなたがもっと出世して、お給料をがっぽりもらってくるっていう手もあるのよ? それに、子供たちにだってもっとお金がかかるんだし、今からお互いにがんばらないと先がないわよ? ……どうしたの貴之? 返事が聞こえないわ?

佳奈 やめてあげて知美さん、貴之さんのライフはもうゼロよ。

■試算・監修
AFG
金融機関向けのソフトウエア開発やコンサルティング業務を手掛けるほか、個人向けの人生シミュレーションプラットフォーム「シミュライズ」(http://simulizer.com/)を提供。給与や生活費のデータを入力すれば、現時点の生活費などの診断に加えて、将来の収支予測なども提示する。

(マネー研究所 川崎慎介)

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