「国際会議」誘致、札幌がのろし 地元企業でスクラム大規模会議場の新設テコに、福岡など上位都市追い上げ

民間主導で国際会議を北海道に誘致する(16年に札幌市で開かれた「世界冬の都市市長会議」)
民間主導で国際会議を北海道に誘致する(16年に札幌市で開かれた「世界冬の都市市長会議」)

北海道に国際会議を誘致するため、札幌市内の地元企業など8社が手を組む。有限責任事業組合(LLP)を設立して活動を始めた。同市内には5000人から1万人まで収容できる大規模会議場が2020年代半ばに完成する予定。行政にできない質の高いサービスを民間主導で提供することで、国際会議の開催で先行する福岡市や横浜市など他都市を追い上げる。

国際会議や見本市などは「MICE(マイス)」と呼ばれ、20年の東京五輪・パラリンピックが終わった後の地方活性化策として期待が大きい。出席者や帯同する家族の宿泊・飲食などで大きな経済効果が見込める。地元企業が共同で事業組合を立ち上げてMICEを誘致するのは、全国でも珍しい。

事業組合の名称は「さっぽろMICE戦略推進有限責任事業組合」。JTB北海道(札幌市)や国際会議の受け入れなどを手がけるイー・シー・プロ(同)、DMC(同)など地元6社に加え、全国で大型会議を企画運営する日本コンベンションサービス(東京・千代田)とコングレ(同)の2社が加わった。

地元6社は全国各地で大型会議を企画運営する大手2社を事業組合のなかに取り込むことで、国内の大型案件を道内に呼び込むことを狙う。これまで医学会総会をはじめ国内で開催する動員数が多い会議は東京や大阪、福岡で開くことが多かった。

同事業組合は医学会総会などの国内の大型案件を道内に呼び込むだけでなく、海外から会議や研修も誘致する。11月上旬には法人向けに会議や研修を手配する香港の旅行会社30社を道内に招へい。札幌市や洞爺湖町などを巡り、商品開発に役立ててもらう。マレーシアやフィリピンに対しても同様の取り組みを手掛ける。

札幌市は5000人から1万人まで収容できる道内最大の大規模会議場を整備することを予定しており、17年度中にも施設の整備基本計画をまとめる。有力な候補地が市の中心部にある中島公園地区で、敷地内にある札幌パークホテルの建て替えにあわせ、現在ホテルがある場所に大規模会議場を新設する案が浮上している。完成は20年代半ばの見通しだ。

札幌市内には5000人以上をまとめて収容できる施設がなく、他の政令指定都市に比べ国際会議や見本市といったMICEの誘致に後れを取っている。中島公園地区は、札幌市内の中心部に立地し、会議後は札幌パークホテルで宿泊できる利点もある。

ただ、行政主導でMICEを誘致するには、サービスが画一的で他の都市との違いを出すのが難しいという課題がある。そこで民間8社が立ち上げた事業組合は国際会議の受け入れや通訳などで連携し、サービス面の機能を拡充。行政と互いに補完し合いながら、札幌でのMICEビジネスを拡大させる狙いだ。

日本政府観光局(JNTO)がまとめた国際会議統計によると、15年に札幌市で開催された国際会議は107件で全国9位。福岡市の363件や横浜市の190件と比べると見劣りしており、環境整備が急務となっていた。国内では札幌市のほかに群馬県高崎市、愛知県常滑市、奈良市、長崎市などでも会議場の新設計画が進んでおり、誘致競争が激しくなりそうだ。

MICE
Meeting(企業などの会議、研修)、Incentive Travel(報奨旅行)、Convention(国際会議)、Exhibition/Event(展示会やイベント)の頭文字をとった略称。一般の旅行に比べて単価が高く、米国では市場規模が30兆円に達するという。

[日本経済新聞朝刊2017年10月12日付を再構成]