ヘルスUP

日経Gooday 30+

多忙で休めないあなた! 他人事ではない「帯状疱疹」

日経Gooday

2017/10/22

帯状疱疹はほとんどの成人に起こり得る病気。特になりやすいのは、仕事が忙しく「絶対に休めない」というストレスフルな状態のときだという(c)Ferli Achirulli-123rf
日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

赤い発疹が帯のように広がる「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」。発疹に先駆けて痛みが表れるため、頭痛や腰痛、狭心症のような病気と勘違いして治療が遅れ、長く後遺症に苦しむ人もいる病気だ。原因は、水ぼうそう(水痘)を引き起こす「水痘・帯状疱疹ウイルス」。50代から発症が増え、ストレスとも密接に関係しているため、働き盛りの世代にとっても見逃せない。帯状疱疹の基礎知識やワクチンの必要性について、東京逓信病院副院長・皮膚科部長の江藤隆史氏に詳しく聞いた。

■大人のほぼ全員に可能性あり

――帯状疱疹は水ぼうそうと関係があるそうですが、どのようにして発症するのですか。

帯状疱疹の原因は、水ぼうそうと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」です。帯状疱疹が起きる仕組みを「源平合戦」に例えてお話ししましょう。

子どもの頃に水ぼうそうにかかると、治った後も、生き残ったウイルスが体の奥深くに潜んでいます。天下を取った平氏(ウイルス)が源氏(免疫機能)によって討伐され、平家の落人として山里に逃げ込むようなイメージです。この落人の里に当たるのが、免疫機能がなかなか介入できない、脊髄神経の後根(こうこん)という知覚神経の根っこです。水痘・帯状疱疹ウイルスは30~40年もの長い間ここに隠れています。大人になって免疫力が低下したとき、ウイルスが再び暴れ出して(再活性化)、発症するのが帯状疱疹です。

――子どもの頃に水ぼうそうにかかった人は、将来帯状疱疹になる可能性があるのですね。その中でも、帯状疱疹になりやすい人・なりにくい人はありますか。

日本の成人の9割以上は水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したことがある(抗体を持っている)ため[注1]、帯状疱疹はほとんどの成人に起こり得る病気といえます。特に帯状疱疹になりやすいのは、仕事が忙しくて「絶対に休めない」というストレスフルな状態のとき。まさに泣きっ面に蜂というタイミングです。加えて、高齢者や、抗がん剤・免疫抑制薬などを使う人も、免疫力が下がってウイルスが再活性化しやすい状況にあるので、帯状疱疹を発症するリスクが高まります。

反対に、帯状疱疹になりにくいのは、幼稚園・保育園の先生や小児科医など、水ぼうそうの患者に接する機会が多い人です。彼らの周りにはしょっちゅうウイルスが飛び交っていて、ウイルスを見つけるたびに「平氏がいる!」と源氏役の免疫機能が反応し、活発に働いてくれるからです。

[注1] 国立感染症研究所「2016年度感染症流行予測調査」

■頭痛、五十肩、腰痛と間違える人も

――症状について教えてください。最初に表れるのは、水ぼうそうに似た発疹でしょうか。

多くの場合、皮膚の症状よりも、体の奥がチクチク・ピリピリする痛みが先に出ます(図1)。「頭痛で脳外科にかかっても治らないと思っていたら、皮膚に発疹が出てきた」というのはよくある話です。腰痛だと思って整形外科へ、狭心症か心筋梗塞だと思って循環器科へ行く人もたくさんいます。発疹が出るのは痛みが1週間ほど続いた後で、虫刺されのような赤い発疹が胸やお腹などに帯状に広がります(図2)。四谷怪談のお岩さんが帯状疱疹だという説がある通り、お腹や背中だけでなく顔に重い症状が出ることもあります。

(出典:東京逓信病院ホームページ)

皮膚の症状より先に痛みが出る仕組みには、ウイルスが関与しています。脊髄神経の根元に潜んでいたウイルスは、神経を伝って、皮膚を目指して移動します。平家の落人が決起して街道をたどっていくようなもので、その通り道である神経はダメージを受けてしまいます。その神経の炎症によって痛みが起き、その後で皮膚に発疹が出てくるのです。

ヘルスUP 新着記事

ALL CHANNEL