日経トレンディネット

2017/10/21

フード・フラッシュ

その理由を、スターバックスコーヒージャパン代表取締役CEO(最高経営責任者)の水口貴文氏はこう説明する。

「米国では1330万人のポイント会員を抱えており、その会員が会社全体で36%の売り上げを作っている。さらに、そのうち30%をモバイル決済が占める。一方、国内でもウェブ会員は270万人を超え、アプリ利用者は180万人に達した。国内でも決済額の20%をスターバックス カードが占める規模になっている。こうした優良顧客にフォーカスした初のプログラムだ」

つまり、新たなポイント制度はお得さを追求して新規顧客を開拓するのではない。すでにスターバックス カードやアプリを利用している顧客に、これまで以上のサービスを提供することで、優良顧客へと引き上げることを狙った施策というわけだ。

金色のStarを150ポイント集めるたびに、700円以内の好きな飲食物やコーヒー豆などと交換できるクーポンを取得できる
最新のアプリではデジタル版のスターバックス カードの取得が可能になる

顧客とより深くつながるために

同社は経営戦略において、店舗で得られる「体験」を重視している。これまでは、従業員が提供するサービス、季節や店舗ごとに異なる商品などで体験を作り出してきたが、そこに「デジタルを加えることで、一人ひとりの顧客とより深くつながり、新たな体験を提供する」(水口氏)ことを目指す。

今後は、顧客ごとに関心の高い情報を提供し分ける「パーソナライゼーション」に取り組む。

パーソナライゼーションを強化するために、スターバックスは顧客の購買情報やウェブサイトの利用データ、天気や気温といった外部から購入するデータを包括的に蓄積するためのデータベースを、ポイント制度の導入に併せて新たに構築した。蓄積したデータを、アプリの利用者一人ひとりに適した情報発信に役立てる。例えば、気温が下がった地域に住む顧客に対して、愛飲している温かい飲み物と相性の良いケーキを案内して来店を促す、といった具合だ。

米国のスターバックスで先行的に利用が進む、アプリを通じた事前注文にも注力する。国内でも先進的な飲食店の間で利用が進んでいる(関連記事「ランチ行列もう不要 持ち帰り『事前注文アプリ』点検」参照)。この取り組みについては、「国内ではより高い精度のサービスを求められる。例えば、事前注文された商品が冷めないように提供できる体制作りなど、オペレーション面を含めてじっくり検討した上で提供したい」と水口氏は今後の展望を語った。

(文/中村勇介=日経トレンディネット)

[日経トレンディネット 2017年9月20日付の記事を再構成]

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