また、介護以外にも、育児期間は残業が前提のフルタイムで働くことは厳しいものがあります。あるいは、将来のキャリアアップに向けた学び、副業・兼業、独立準備などのために短時間で働きたい人も増えています。

短時間労働=パートタイム=限られた職種という現実

次に、働く人の労働時間について、「平成26年 就業形態の多様化に関する総合実態調査」(厚生労働省)から見てみましょう。

週5日の1日7時間労働(残業なし)、つまり週あたり35時間未満で働く人を雇用形態別に比較すると、正社員では3.2%。30人に1人しかいません。契約社員で35時間未満の割合は16.7%と、正社員と比較すると増加しますが、これも6人に1人にすぎません。派遣労働者で19.4%、5人に1人と少し増加します。

一方、パートタイムのうち週35時間未満の割合は70.6%。パートタイム以外の雇用形態では、短時間で働く人がまだまだ少数派であることがわかります。逆の言い方をすれば、時間的な制約ができた人が、転職や再就職する場合、パートタイム以外の選択肢がとても狭いということです。

さらに、パートタイムを選択した場合、どのような職種で働く人たちが多いのかを見ると、トップ3は、「サービスの仕事」29.8%、「事務的な仕事」23.1%、「販売の仕事」17.2%となります。専門的・技術的な仕事は10.3%と10人に1人、管理的な仕事は0.6%と150人に1人以下にすぎず、これらの仕事の過半数はパートタイム以外の雇用形態の人たちが担っていることがわかります。これはみなさんの実感とも合っていると思います。

もしも現在、フルタイムでサービス・事務・販売職以外の職種で働いている人が、何らかの制約で短時間労働を選択した場合、雇用形態に加えて、職種も変更しないと仕事が見つけにくくなる可能性が高いようです。時間の制約が生じただけで、せっかく今まで培ってきた専門性を活用できなくなります。

専門性を生かして働いていたのに、時間的制約ができて離職した人が再び働き始めたとき、その専門性と全くかかわりのない仕事をしているケースは、皆さんの周りにもあるのではないでしょうか。

時間的制約がある人を生かし始めた企業

これまで見てきたように、現時点の日本の働き方は、実質的に、専門性を生かして長時間働くか、専門性を捨てて短時間で働くかの2つの選択肢が主流です。

しかし、冒頭でお伝えした第三の選択肢、「専門性を生かして短時間で働く」という働き方がもしあれば、時間に制約がある人の転職や再就業の可能性はぐっと広がり、働く人にとっても、人手不足に頭を悩ます企業にとっても貴重な能力を活用できることになります。

とはいえ、現状は上記の2つの選択肢が前提となる働き方しか想定していない企業が大多数です。「専門性を生かして短時間で働く」という働き方が広がるためには、企業側がこのような仕事を作り、求人をして、働く人を受け入れるかどうかがカギとなります。

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「ZIP WORK」という働き方
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