世界の情報格差は消失 投資も自国中心主義ではダメ積立王子のヤング投資入門(7)

グローバリゼーションの進展は、このように世界の情報格差の解消から始まる地球規模での経済成長への渇望が前提となっています。経済活動に参加する人々が増え、豊かさを享受できる地域が広がっていく。世界中の人たちがこぞって成長と豊かさを追求し、経済活動が活発化していく。筆者はグローバリゼーションの進展に、人類がこれまでの長い歴史でも果たし得なかったロマンを感じずにはいられません。そして様々な課題も人類の英知で克服し、世界全体で共存共栄しながら持続的な成長を実現していく「地球経済」への期待をグローバリゼーションに託している者のひとりです。

ホームカントリーバイアスは排除

さて、こうした地球が一体となって成長していく時代には、どの国がいつ成長の牽引(けんいん)役として抜け出すのかを予測して当てるのは、前回も書いた通り困難です。そこで世界全体をカバーするように資産配分を組み合わせる投資手法が、「国際分散投資型」の資産運用です。

従来、この国際分散ポートフォリオでは、国内と海外に半分ずつ資産を配分する「国内外型」が常識的とされてきました。株式に加えて債券を組み合わせる場合(バランス型といいます)でも、国内の株式+債券が50%、海外の株式+債券が50%という円グラフをよくご覧になると思います。しかし投資に慣れない日本人の場合、それだとどうしても「知っている企業に投資したい」と、経済実態と乖離(かいり)して日本への投資配分が過剰になります。これをホームカントリーバイアス(自国偏重の資産配分)といいます。

地球規模の成長軌道に乗ってお金を育てようと考えるならば、ホームカントリーバイアスをできる限り排するのが重要です。日本もこれから先、成熟国なりの経済成長を取り戻してほしいとは思いますが、少子高齢化や財政赤字の問題もあり、その蓋然性は必ずしも高いとは言えません。むしろ初回の「積立王子が一喝 『みんなの危機感は甘すぎるぞ!』」にも書いた通り、我々日本人は緩やかな下りエスカレーターに乗っているようなものです。しかし世界全体で見れば人口は今も増え続けており、ヤングの活気で経済が大きく成長している国は多数あります。従って我々日本人も金融市場の規模や各地域の経済規模に則した資産配分を意識し、世界の経済実態に対してニュートラルなアプローチを取るのが望ましいと考えられます。より具体的に言えば、世界の先進国・新興国などに9割、日本国内の株式や債券には合計で1割程度を振り向けるくらいの意識でいいのではないでしょうか。

このコラムを読んでくださっている皆さんならお分かりの通り、筆者はこうしたポートフォリオを維持して長期で積み立て投資を続けることが資産形成の王道だと専ら提唱しており、年に150カ所以上も日本中を講演して回るほか、自ら運用する投資信託を提供しています。そしてこの投資信託という金融商品は、「長期・積み立て・分散」を誰でも実践可能にしてくれる大変便利なツールだと確信しています。次回は投資信託のそうした利便性と、「つみたてNISA」ではどう使えばいいのかをお伝えします。

中野晴啓
セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。
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