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積立王子のヤング投資入門

世界の情報格差は消失 投資も自国中心主義ではダメ 積立王子のヤング投資入門(7)

2017/10/12

長期の積み立て投資を唱え、日本中を講演して回る筆者

 前回の「『どの国が上がる』ではない 国際分散はなぜ有効か」では、20世紀終わりごろから現在までの世界の構造の歴史的変化を振り返りながら、国際分散投資の有効性について学びました。今回はそれをさらに補強しつつ、では我々はどんな割合で投資していけばいいのかを考えます。

 現在のグローバリゼーション時代と異なり、かつて世界の経済成長には偏りがあり、西側先進国だけが経済成長を独占していました。この背景には「情報の非対称性」があったと考えられます。ヤングな皆さんには難しい言葉かもしれませんが、話は難しくありません。

 グローバリゼーション以前の世界では、他国の経済状況や暮らしぶりに関して、国境が情報の遮断と統制に有効に機能していました。とりわけ経済発展に取り残された地域や東側の社会主義陣営では、庶民には政府の発表や統制された国内メディアしか情報獲得の手段がありませんでした。為政者に都合の悪い海外の情報はことごとく制約され、特に東側諸国ではその傾向が顕著で、国民が先進国の豊かな生活水準を知ることはほとんどなかったのです。人々は、知らなければ今ある暮らしが当たり前だと思うもの。北朝鮮がいまだに強烈な情報統制を敷いているのは、「知らせない」ということで国体維持が図れるからにほかなりません。

■ゴルバチョフの涙

 ところが1990年代に入り、インターネットの発達に伴って情報革命が進展しました。国境の壁をやすやすと乗り越え、世界中どの地域にもあらゆる情報が飛び交い始めました。ネットの普及が国家、国境という物理的な障壁を崩し、世界中から情報の非対称性を駆逐してしまったのです。

 かつて旧ソ連時代、ペレストロイカという構造改革を先導したゴルバチョフ共産党書記長が、西欧や日本に来て商品であふれんばかりのスーパーマーケットの陳列棚を見た時のエピソードをご存じでしょうか。彼は選択肢もなくスカスカな自国のそれとの違いを我が身で感じ、号泣したと言われています。真偽のほどは別として、為政者トップにすら、そうした情報ギャップが存在していたという逸話です。

 しかし先進国の豊かさを知れば、それへの欲求が芽生えるのは当然のことです。東側陣営の崩壊も新興地域の経済成長の勃興も、情報の非対称性が解消していく過程で国民の中にわき起こった「先進国民のように豊かになりたい」という、人間として当たり前の欲望が形を取ったものなのです。近年では2010年から12年にかけてアラブ地域に発生した、「アラブの春」という市民の大規模反政府デモによる変革がありますが、これもネットと交流サイト(SNS)による情報拡散がきっかけでした。

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