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キノコ料理はフレンチに学べ 日本人が忘れた季節感

2017/10/12

 秋になるとスーパーマーケットの売り場に、キノコ類が多く登場してくる。それを見るとなんとなく「秋だ」と感じるのだが、「日本人はキノコの旬を知らない」と残念そうに言うのは、東京・恵比寿のフランス料理店「マッシュルーム」の山岡昌治オーナーシェフ。

 フランスで約4年半修業した後、93年に店をオープン。店名通り、「マッシュルーム」では国産の天然キノコやこだわりの栽培ものをはじめ、その時々に一番おいしい旬のキノコを使った料理を提供している。

「一般的な日本のスーパーで売られているキノコは栽培キノコばかり。いつも同じ種類しかなくて、ぜんぜん季節感がない。秋口から冬にかけては鍋に入れるためのキノコが一番売れるから売り場面積が広がってなんとなく旬の気がするんだけど、実は日本人はキノコに関しては季節感がないんです」と山岡シェフは言う。

 確かに、地方の市場などでは天然キノコを見かけたりするものの、都会でも目にする天然キノコといったらマツタケくらい。「キノコって秋の素材みたいにみんな思っているけど、春、夏、冬にもおいしいキノコがあります。魚だったら、秋に旬のものしか食べないなんてことないでしょ。興味がないなんて、もったいないよね」(山岡シェフ)。

「キノコ博士」の山岡シェフがその魅力に目覚めたのは、フランスに渡ってから。渡仏後初めての夏から秋口にかけ、働いていたレストランの厨房に20種類ほどものキノコが入ってきたのだ。キノコには一つひとつ、名前を書いた札が添えてあった。

「フランス料理でよく使ういくつかのキノコは日本で料理を勉強していた時から知っていたけど、それを見た時、本当に知らない素材だな、と思いました。それぞれがどんな味かも想像できない。それで、書店に行ってキノコの本を見たら、食べられるキノコがすごくあることが分かって。面白いと思い、キノコのことを勉強するようになりました」(山岡シェフ)。

ユニークなフランスのキノコ図鑑『きのこの名優たち』(山と渓谷社) イラストが秀逸

 フランスには、キノコ狩りの手引きやキノコの料理を紹介したものなど、キノコに特化した雑誌まであるという。「この本を見て」とシェフが持って来てくれたのは、邦訳も出版された『きのこの名優たち』(山と渓谷社)という一冊。フランスで採れる主なキノコについて、イラスト入りで学名、特徴から発生時期、胞子の拡大図までこと細かに解説したキノコ図鑑だ。

 だが、単なる図鑑ではなく、よく見るとそれぞれにドクロやら、フォークとナイフ、コック帽などのマークがついている。「毒があるもの、食用に向かないもの、食用キノコを示しているんです。コック帽がついているのが一番おいしいキノコなんですよ」と山岡シェフ。

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