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安いだけじゃないチリワイン 「欧州の源流」を再評価

2017/10/12

PIXTA

 2015年、16年と日本へのワイン輸入量が1位となった国がチリだ。アルパカなど動物を使った親しみやすいラベルにスーパーやコンビニなどで1000円以下で買える価格、安定したおいしさで多くの人に支持されている。しかし、チリワインの魅力は「安うま」にとどまらない。特に近年は、歴史の流れの中で埋もれてしまったブドウを再評価する流れができている。新たなチリワインに迫る。

日本で一番売れているチリワインブランド「アルパカ」。輸入元はアサヒビール

■安くておいしいワインができる理由

 チリワインは、安くておいしい。温暖で収穫期に雨が少ないという気候に恵まれている上、東はアンデス山脈、西は太平洋、北は砂漠、南は南極海と周囲から隔絶された環境で病害や虫害がやってこない。あまり手間をかけなくてもおいしいワインができる。

アンデスの山々がアルゼンチンとの境界となる=PIXTA
アタカマ砂漠。標高が高く、極めて乾燥している=PIXTA

 ワインの価格に関しては、人件費が非常に安いこと、日本との間では関税がほとんどかからないこと[注1]、大規模な生産者が多いことが大きく寄与している。

[注1]2007年に日本とチリの間に締結された経済連携協定で、2019年3月までに漸減的に相互の関税をなくすことになっている。

■高級ワインも造られている

 安くておいしいチリワインは、多くの人に支持されている。一方で「今日本で飲まれているチリワインは1990年代のスタイル」(ワイン&スピリッツ専門誌「ウォンズ」の番匠国男編集長)だという声もある。

 1990年代のスタイルとは、赤ワインを造るカベルネ・ソーヴィニヨンや白ワインを造るシャルドネといった世界中で造られているブドウ品種を使い、その果実味が味の中心となるスタイル。飲みやすく、品種の特性は出ているが、地域の個性やワイナリーの個性、繊細な味わいといった、より高級ワインに求められる要素はあまりないワインだ。

 実際のところ、チリでは安いワインだけでなく、高級ワインも造られている。その走りとなったのがコンチャ・イ・トロが造る「ドン・メルチョー」。創設者の名前を取ったワインで1987年から造られている。さらに、1998年にはボルドーの1級シャトーである「シャトー・ムートン・ロッチルド」とコンチャ・イ・トロとの合弁で「アルマヴィヴァ」という高級ワインを造るワイナリーもオープンした。

コンチャ・イ・トロのフラッグシップ「ドン・メルチョー」。輸入元は日本リカー。2011年ビンテージの希望小売価格は1万1000円(税抜き)
アルマヴィヴァ。輸入元はアサヒビール。2011年ビンテージの希望小売価格は1万9500円(税抜き)

 これらはいずれも、フランスのボルドーで造られているカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインのスタイルをなぞらえたものだが、さらに注目したいのがチリでしか造れない独自のワインだ。ここではその例として3つのワインを挙げよう。いずれも、古くからあるものが復活してきたものであることが面白い。

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