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キングジム商品開発部デジタルプロダクツ課の東山慎司リーダー

キングジム商品開発部デジタルプロダクツ課の東山慎司リーダー

家電量販店で「デジタル文具」という売り場や棚が珍しくなくなった。キングジムが文章作成に特化したデジタルメモ「ポメラ」をヒットさせるまでは見かけなかったコーナーだという。初代ポメラが発売されたのは2008年11月。その年に入社した一人が商品開発部デジタルプロダクツ課リーダーの東山慎司氏だ。最新のポメラ「DM200」の開発も手がけた東山氏に、キングジム流ものづくりについて聞いた。(前編「デジタル文具を先取り 「テプラ社長」の成功と挫折」参照)。

「書き心地」にこだわった最新機種

――16年10月に発売した最新型ポメラ「DM200」は、初代に比べると無線LANを搭載するなどパソコンに近づいた印象です。

「無線LANを積んではいますが、できるのはポメラで作成した文書をメールで送ることと、iPhoneなどと相互にファイルを同期できることぐらいです。ポメラのユーザーは集中して文章を書きたい人が多いので、あえて機能を限定しています。足したのは文章を効率良く活用するためのものばかりですから、根本的な部分ではぶれていないと思っています」

「ポメラはあくまで文章を書くための道具。前の機種に比べて液晶画面が大きくなったり、エンジンたるCPU(中央演算処理装置)の性能が良くなったりはしていますが、すべては紙とペンに近い書き心地を追求した結果です。当初の見積もりでは価格が6万円近くなると出たので、部材の選定をしなおすなど、少しでも安く抑える工夫をしました。本体価格は4万9800円。これまでは中身を流用しながら後継機種を作ってきましたが、DM200に関してはほぼゼロから作り直したに等しいぐらいの改良をしています」

――今回の場合はどのようにして企画が立ち上がったのでしょうか。

「前の機種の『DM100』がある程度売れて、営業からも次の機種を求める声は出ていました。しかし、開発側からすると日本語変換能力の向上がない限り、上位機種の開発には踏み切れませんでした。だいぶ前から内々に日本語入力システムのATOKを開発しているジャストシステムと交渉を続けていましたが、なかなかタイミングが合わなかった。今回はジャストシステムがスマートフォン(スマホ)向けに開発していたATOKをベースにポメラ専用の『ATOK for pomera』を搭載することができたため、企画が動きました」

入社後、いきなり中国出張へ

――東山さんはなぜキングジムに入ろうと思ったのですか。

「大学で工業デザインを専攻し、ものづくりに携わりたかったんです。キングジムの場合、企画した人間がプロジェクトリーダーとなり、部品の調達からデザイン、完成までを一貫して担当します。ものづくりの一部分だけではなく、全体に携わることができるのが面白そうだと感じました」

「就職活動をする前は『キングジム』という社名も正直、知りませんでした。事務用品メーカーの王様になりたいという願いを込めて創業者が名付けたと知り、へえ、そうだったんだと。正式な配属先が決まるまでの約2カ月間、勉強のためにテプラの開発チームに入っていたのですが、ゴールデンウイーク明けにいきなり先輩に連れられて中国出張へ行くことになりました。そこで改めて、本当になんでもやらせてくれる会社なんだな、と思いました」

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