1位はWANIMA、欅坂46が2位 音楽動画ランキング
若者を中心に、YouTubeは音楽を楽しむツールとして当たり前の存在になった。動画で人気の楽曲は、ジャンルが多岐にわたるのが特徴。CDセールスのランキングで女性アイドルとジャニーズ勢が上位を占めているのと様相が大きく異なる。音楽の好みの多様化を、より明確に反映しているのが動画ランキングといえる。YouTubeで2017年上半期に国内で見られた音楽動画の視聴回数ランキング(Google発表)を基に、動画で人気の楽曲やアーティストを探ってみよう。
上位50位までを見ると、ランクインした作品は楽曲としての完成度に加え、一流の映像作家が撮影するなど、映像的に魅力的なものが多い。
トップに輝いたのは、再生回数が2900万回(8月22日時点、以下同)を突破する、WANIMAの『やってみよう』。au「三太郎シリーズ」のタイアップ曲で、CM映像が使われている。WANIMAは今年メジャーデビューした3人組バンドで、『NHK紅白歌合戦』に初出場が決まったことでも注目されている。2位は欅坂46の『不協和音』で、2400万回超え。欅坂46は16年デビューの女性アイドルグループで、ロック系の楽曲と激しいダンスで人気を集めている。3位は米津玄師の『orion』で2100万回を記録。米津はデジタルからバンドサウンドまで幅広い楽曲を手がける、インターネット発のシンガーソングライターだ。
トップ10を見ると、バンド、女性アイドル、男性ソロ、ボーイズグループ、洋楽、K‐POPなどジャンルが多岐にわたる。一方、オリコンの17年上半期シングルチャートトップ10は、女性アイドルとジャニーズ勢のみで占められている。CDセールスは熱心なファン層に支えられているのに対し、ミュージックビデオのランキングには、若者を中心とした一般層の音楽への多様な関心動向が細かく反映されているといえよう。
AKB48グループは圏外
AKB48グループとジャニーズ勢がトップ50に入っていないことも特徴的だ。135万枚を売り上げ、17年上半期のオリコンシングルチャートで1位となったAKB48の『願いごとの持ち腐れ』は470万回再生にとどまり、トップ50圏外に。国民的ヒット曲となった『恋するフォーチュンクッキー』(13年)は1億回再生を超えるだけにやや寂しい結果といえる。ジャニーズ勢は、事務所が「肖像権」保護の観点から、ネット上に写真や動画を上げないという基本方針を打ち出しているため、YouTube上に公式ミュージックビデオは存在しない。
トップ50の中で、最多登場するアーティストはHoneyWorksで5曲。ボーカロイドを使った楽曲や、声優などを起用したアニメソングを数多く発表し、10~20代の若者から人気を集めるクリエイター集団だ。16年のアニメ映画『ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~』と、その続編に関連する作品が4曲入った。
(ライター 中桐基善)
[日経エンタテインメント! 2017年10月号の記事を再構成]
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