白河 フィードバックをうまくやるには、上司のコミュニケーション能力も問われるわけですよね。今フィードバックの効果が注目されています。会社として、そのあたりについてどのような対策を講じていますか。

有沢 弊社の場合は、年に2回のフィードバック面談を行います。上司のフィードバックを受けたかどうかは、人事が全従業員に社内のアンケートシステムを利用して確認しています。

面談のようにフェース・ツー・フェースで話をする機会は、在宅勤務やテレワークが導入されてくると、ますます必要になってくるでしょう。

よく、在宅ワークやテレワークが増えると、上司とのコミュニケーションが減っていくといわれますが、実際は逆です。上司と話す機会が増えるんですよ。なぜかというと、お互いにスケジュールや作業の進捗を確認するようになるからです。

ツールが進化しても、フェース・ツー・フェースの重要性は高まっていくでしょう。今、テレワークをうまく運用できている会社では、上司とのコミュニケーションが増えていると思います。

白河 グーグルでは、1週間に1度は「1 on 1ミーティング」(上司と部下が1対1で定期的に行うミーティング)をやっているそうです。チームが少人数だからできることかもしれませんが、上司はかなりの時間をそのミーティングに割いていて、それ自体がマネジャーとしての主な仕事になっているようです。

フィードバックの機会が増えていく、小さなチームで管理する、というようなことが、今後の世界的な流れなのかなと思います。

有沢 その通りだと思います。今までのマネジメントのスタイルから大きく変わってきているんですよね。従来は、1人の部長が50~60人の部下を見るような一括的な部下管理でしたが、今後は1 on 1の形になっていくと思います。

有沢さんは人事施策で従業員のモチベーションを上げ、売り上げに結び付けたいという(写真:吉村永)

人事部のクライアントは「お客様」

有沢 私たち人事部門のやるべきことは、従業員の幸福度を上げることですが、最終的にはエンドユーザー、つまりお客様の満足度を上げることなんです。一般的に「人事部のクライアントは誰か」と聞くと、多くの人は「従業員」と答えがちですよね。

白河 普通の人事部門の方は、従業員の働きやすさについて考える意識はあると思いますが、お客さんの満足まではなかなか考えませんよね。

有沢 直接的に影響するのは従業員かもしれませんが、最終的に私たちが見ている先にいるのは、お客様なんだと。人事部が従業員だけ見てしまうと、人事施策を間違ってしまうかもしれないのです。

人事は、いわゆる奉仕者の感覚かもしれません。ただ、それだけじゃなくて、従業員たちのモチベーションを上げながら、最終的に売り上げに結び付けたいじゃないですか。

もちろん、それは現場の手柄です。現場が手柄を立てて、お客様を満足させるために我々がいる。これはきれい事でも何でもなくて、そういう視点を持っていないと、人事の施策は絶対に間違えると思うのです。

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説明できない制度は導入してはならない