人事担当者よ 現場に足を運び、社員の声を聞け!有沢正人カゴメ執行役員CHO(最高人事責任者)インタビュー(後編)

働き方改革で「生産性」という言葉がクローズアップされました。しかし実際に「生産性」をどう測るのか、評価するのか……そこに解を持たない企業は少なくありません。前編の「役員でも減収あり? 評価改革は経営層から始めよう」に引き続き、カゴメ執行役員CHO(最高人事責任者)の有沢正人さんに、労働生産性と評価の仕組み、人事部門の役割などについてお話を伺いました。

有沢正人氏略歴:1984年協和銀行(現りそな銀行)入行 人事などを経験。2004年HOYA 人事・戦略最高責任者、2008年AIU保険 人事担当執行役員。2012年カゴメ入社、同年10月に執行役員人事総務部長、2017年10月にCHO(最高人事責任者)就任(写真:吉村永)

定性評価ではなく、定量評価に近づける

白河桃子さん(以下、敬称略) 前回のお話で、働き方改革やグローバル化が進む中で、評価制度の改革が重要なポイントになるということが分かりました。

近年、「労働生産性を上げる」という言葉がよく使われるようになりましたが、労働生産性を適切に評価できている企業はあまりないように思います。これからの時代に求められる評価の仕組みに対するヒントをお聞きしたいです。

有沢 労働生産性で評価をすること自体は間違っていません。カゴメでも、労働生産性を重視していく方針です。

ただ、「労働生産性」と聞くと、投入時間に対してどれだけ効率よくアウトプットをしたか、というイメージを持たれやすい。すると、営業ならば売り上げや利益などで判断しやすいでしょうが、研究開発部門の評価は難しいですよね。5年から10年という長いスパンで考えなければならないからです。同じく間接部門も、収益に直結しているわけではありませんから、評価するのが難しいのです。

これらの部門は、どう評価するのか。私は、「何を」「いつまでに」「どのくらい」という視点で見ていきます。各人に目標を申告してもらい、定量的に評価していくというわけです。

白河 自分で目標を立てて、到達度を測定するのですね。営業などのように数字が出ない間接部門も定量化できますか。

有沢 できます。当社では、目標を立てるときは、基本的に上司と話し合いをしてもらいます。

経営者や役員の目標が落とし込まれて、部長の目標に。部長の目標をさらにブレイクダウンさせると、課長の目標に。課長の目標がブレイクダウンされて、担当者の目標になります。つまり、担当者の目標の総和が、会社全体の目標になるのです。

何をやるか、ということを決めれば、必ず定量化できます。よく、「間接部門は、定量化できないから定性評価するしかない」といわれていますが、それは間違いだと私は思います。

白河桃子さん(写真:吉村永)

テレワークは上司との交流が増える

白河 先ほど(前編で)「pay for performance」という話を伺いました。成果に対して評価をするとはいえ、上司と部下は人間同士ですから、どうしても感情や相性が加味されてしまうことがあると思います。そこはどうすればよいのでしょうか。

有沢 まさにそこは大事なポイントです。なぜ、評価に感情や相性が加味されてしまうかといえば、定性評価だけで済まそうとしていたからです。

定性評価とは、極端に言えば「好き嫌い」です。この部分を極力減らすためには、客観的な「ファクト」で評価するしかありません。これならば、お互いに文句のつけようがありませんよね。

2つ目に、1人の上司だけが評価するのではなく、複数の人が評価する仕組みをつくることでしょう。多面評価になれば、1人の上司の癖や見方に偏ることはありません。

最後に、フィードバックをきっちりやることです。実は、日本ではこれをちゃんとやっていない企業が非常に多いのです。フィードバックの機会があっても、一方的に「こういう評価だから」と伝えるだけだったり、従業員が反論できない状況だったりします。

それではダメなのです。なぜ、目標達成できなかったのかを本人に直接聞いて、その原因を除去してあげるのが、上司の仕事です。

100%、好き嫌いが除去された評価は、この世に存在しません。ただ、それに向けてやることは可能なのです。

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