2017/10/10

記事

ポイントカードのアプリ化は財布も薄くできるし、便利なのは間違いない。ただ、ポイント制度に詳しいポイ探(東京・中央)の菊地崇仁代表は「ポイントカードを家に置いてくる前に、自分がよく使う店が本当にスマホ対応になったのかは確かめる必要がある」と指摘する。各加盟店のスマホ対応状況は4大ポイントのウェブサイトなどである程度確認できるが、意外にその情報を見つけにくいサイトもある。利用者にとっては財布をスリム化できる利便性と、加盟店情報を調べ直す手間とをはかりにかける形だ。菊地氏は「こうしたアプリはセールや割引商品情報などをプッシュ通知で知らせてくれる例が多く、その点はプラスチックのカードにはない長所。従って本来はアプリ利用がお勧めなのだが、現在はまだ過渡期で、カードを完全に手放すのは難しいだろう」と話す。

楽天Payでもドキドキ

クレカのほか、ポイントでも支払いができる「楽天Pay」(一部画像を加工しています)

さて、ポイントとスマホとコンビニという点ではこの夏、もう1つ大きな出来事があった。8月に全国約1万3000店のローソンが、楽天の新しい決済サービス「楽天Pay」を導入したことだ。楽天Payはスマホに専用アプリをダウンロードし、支払いに使うクレジットカードの情報を登録しておくと、加盟店のレジなどでアプリ画面のバーコードやQRコードを使って支払えるサービス。支払いには楽天スーパーポイントも使え、ポイントで払ってもクレカで払うときと同様に、支払額の0.5%分のポイントを新たに獲得できる。

ファミマを訪れた数日後、記者は今度は都内某所のローソンにいた。当然、楽天Payを試すためだ。今回は午前3時ころのすいている時間帯を選んだが、前回のファミマの例があり、やはり少し緊張した。果たしてこの画面だけできちんと払えるのか?

レジを打っていた年配の女性店員に勇気を出して「楽天Payで払います……」と切り出した。すると意外なことに、店員は思いの外あっさりと「はい」とバーコードリーダーを取り出してスマホ画面にかざしてくれ、一瞬で支払いは終了した。既に従業員教育がしっかりできている印象だ。こちらは支払いだが、アプリ画面のバーコードを読み取ってもらうだけなので、ファミマでポイントカード代わりにアプリを使ったときと全く同じ感覚だ。2つのトライアルを終え、ようやくほっとした記者だった。

ちなみに楽天スーパーポイントにとってコンビニは、重要ではあるが加盟店開拓が難航した分野だった。楽天グループ外でポイントを使えるようにする戦略を打ち出した14年当時、すでにファミマはTポイント、ローソンはPontaを採用しており、楽天スーパーポイントはサークルK、サンクスに導入された。ところが、その後の経営統合により、サークルKとサンクスはファミマに統一されることになる。当然ポイントもTポイントに一本化され、楽天スーパーポイントは閉め出される格好になってしまった。9月末にはまだファミマに看板が変わっていないサークルK、サンクスでも楽天スーパーポイントの利用が終了する予定だったため、その直前にローソンでポイントが使えるようになったことは楽天にとっては起死回生ともいえる施策だった。

ただ厳密に言うと、ローソンは楽天スーパーポイントの加盟店になったわけではない。分かりにくいのだが、あくまで決済サービスとしての楽天Payを導入しただけだ。事実、楽天ポイントカードの公式サイトをどんなに探してもローソンの名前はない。ここに一つ混乱のもとがある。前出の菊地氏は「以前は加盟店の追加や脱退の情報だけを見ていれば、ポイントを使える場所を誤ることは少なかった。しかし昨今は新種のサービスが増えたことで、加盟店情報だけではポイントの真の利用可能範囲が見えにくくなった」と話す。本当にポイントをもれなく使いたいという利用者にとっては、楽天Payなど新しい決済サービスの情報にも目を凝らす手間が増えている。

現状では「操作に慣れる」が必須

もちろん利便性が高まる点もある。例えば、ローソンでは楽天Pay導入によって、楽天スーパーポイントと別のポイントを1度に2重でためられるようになった。ローソンは現在Pontaに加え、dポイントの加盟店でもある。買い物の際は、どちらのポイントをためるかを選べば、現金・クレジットカード・電子マネーのどれで払ってもポイントはもらえる。楽天Payを支払いに使う場合も同様だ。

しかも、ローソンはPontaやdポイントならカードではなく、アプリを使ってもポイント加算ができる。スマホにPontaかdポイントのアプリと、楽天Payアプリをダウンロードしておけば、カードを全く使わずに2つのポイントをためられる。

あとはスマホ操作に慣れることだ。菊地氏は「アプリは事前に立ち上げておかないと、カードのようにスッとは出せない。さらに楽天Payを使うなら、2つのアプリを立ち上げておき、レジ前で『ポイントカード画面→楽天Payの支払い画面』と切り替える動作が必要になる」という。記者も実際試してみたが、通信状態などでアプリの立ち上げに時間がかかることもあったので、レジで自分の番が来てからアプリを立ち上げるのではまごつきそうだ。事前にアプリを立ち上げておいても、混雑したレジで後ろの人の視線を気にしながら2つのアプリを切り替えるのには焦りで操作をしくじることもありそうだと感じた。こればかりは「習うより慣れろ」かもしれない。

各種ポイントサービスとスマホの関係は、今後より密接になっていくだろう。ただ、システムやアプリを使いこなすには、利用者側にも、これを受け入れる店の側にも、一定の慣れが求められるのが現状だ。逆に言えば、今後はポイントが使える店の多さやポイント還元率だけでなく、「誰でも簡単にポイントをためて、使える」アプリをいかに開発していくかも、ポイント運営会社の競争の主眼になっていくかもしれない。

(マネー報道部 堀大介)