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共通ポイントのアプリ コンビニ店頭で使ってみた 財布がスリム化し便利になるが、複雑にも

2017/10/10

「モバイルTカード」アプリの画面。これがあればカードは不要、か?

 Tポイント、Pontaポイント、楽天スーパーポイント、dポイント。コンビニや飲食店など複数の異なるお店で、ためて使える共通ポイントだ。超低金利下では0.5~1%のポイント還元もばかにならない。最近ではポイントカードもスマートフォン(スマホ)のアプリ化が進んでおり、独自路線が目立つセブン-イレブン以外の大手コンビニの大半はこの「スマホでポイント」の仕組みをすでに導入している。ただ、それが実際に店頭で気軽に使えなければ意味がない。そこで記者は今回、いくつかの最新サービスをコンビニ店頭で試してみた。そこで見えてきた実情と、使い方のコツを紹介しよう。

■店員に謎の質問をされて……

 8月15日夜、東京都某所のファミリーマート店内で記者は手に汗を握っていた。この日はファミマが「モバイルTカード」と呼ぶサービスを導入した当日。スマホ画面に表示したバーコードを店員に示せば、カードがなくてもTポイントをためたり、使えたりできる仕組みで、サービス自体は昨年に始まっていた。そこで開始初日に、本当に今日からファミマで使えるのかを確かめようと仕事帰りに立ち寄ったのだ。

 店内は混雑はしていないが、それでもレジに2~3人が並んでいる。「もしアプリ画面を見せても店員がわからず、説明して時間がかかったら気まずいな……」。レジ列の後ろの人たちの視線がもうすでに気になる。念のためデジタル系に強そうな若い男性店員のレジ列に並び、いよいよレジの前に立った。

 その店員から「Tポイントカードはお持ちですか?」と聞かれたので「これでお願いします」とアプリ画面を見せる。

 「………」

 一瞬の沈黙の後、彼は予想外の質問を投げかけてきた。「これ、登録はお済みですか?」

 登録とは何だろう?

 マネー報道部でポイント関連の記事を多く書いている記者にも即答できない質問だった。スマホにバーコード画面さえ出ればOKと思っていたが、実は何か事前手続きが必要だったのだろうか? 背中にレジ列の後ろにいる人の視線を再び感じ、真夏というのに嫌な冷や汗が走った。こうなれば仕方がない。記者は思い切って「多分、大丈夫です」と笑って答え、画面を改めて示した。店員は無表情にバーコードリーダーをスマホに近づける。すると一瞬でポイントの加算が終了した。初日から問題なく使えたわけだ。ホッとして店を出たが、登録とは一体何のことだったのか?

 後日、Tポイントを運営するTポイント・ジャパンに取材してみると「それはヤフー!ジャパンIDの登録のことですね」という。これはヤフーの各種ネットサービスを使うためのIDだが、現在はTポイントをネット上で管理するためにも使われる。こうした形になったのは、2013年にヤフーの独自運営ポイントがTポイントと統合された時だ。現在はヤフーIDを取得した上で、Tポイントのカードに記載されている番号を登録すると、情報連携が済む。このTポイント番号登録済みのヤフー!ジャパンIDをアプリに入力すればいいのだ。記者は昨年、「モバイルTカード」が始まった時にこの登録をしていたのだが、すっかり忘れていた。当初はアプリが使える店がTSUTAYAなど限定的だったこともある。

 そういう意味では、ファミマ店員は正確な知識を持っていたのだなあと感心していた矢先、目の前の担当者はそれを覆すような一言を投げかけてきた。「もっとも、そもそもID登録が済んでいないと『モバイルTカード』のバーコードの画面は出ないんです。だから、バーコードが表示されているなら、登録の有無を心配する必要はないんですね」。結局、記者もその店員も、無用の心配を重ねていただけだった。

■店員のオペレーションが複雑化

 ただ、これは単なる笑い話ではない。Tポイントに先行する形で、Ponta、楽天スーパーポイント、dポイントはポイントカードのアプリ化を次々と進めてきた。ただし、全加盟店でスマホがカード代わりに使えるというポイントはまだない。スマホを受け入れるためには加盟店側に一定のシステム投資が必要なことが大きな理由だが、あるポイント運営会社の加盟店営業担当者は「非対応の加盟店がシステム投資以上に気にしているのが、店員のオペレーションが複雑化することだ」と裏事情を教えてくれた。

 3~4年前までは、1つのお店が採用するポイントは基本的に1つという時代が続いていた。しかし最近では複数のポイントを客が選択できる店が増えており、これ以外にもスマホなどを使った新しい決済サービスも増えている。ただでさえ人手不足で、店員の作業負担を増やしたくない小売業や飲食業にとって、新サービスを導入して混乱が生じないかは大きな懸念材料であるようだ。先行してスマホサービスを採用したコンビニ業界でさえ、現場では記者が体験したような小さな勘違いは完全に払拭できていないのだから、加盟店各社の心配もあながち的外れではないだろう。

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