検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

猛毒ガエル、なぜ自分の毒に耐えられる? 薬に応用も

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

南米の森林の奥深くには、捕食者から身を守るためにモルヒネの毒性の200倍も強力な毒を蓄えるヤドクガエルが棲んでいる。カエル1匹が蓄えている量でバッファローを1頭殺せるほど強力な毒であるにもかかわらず、彼ら自身にはたいして影響を及ぼさない。なぜだろう?

最新の研究により、ヤドクガエルの神経系は、進化の過程で神経毒への耐性を獲得したことが科学誌「サイエンス」に発表された。この毒は人間に対して、強力でありながら依存性のない鎮痛効果があることが知られており、将来的には鎮痛剤開発への応用にも期待がかかる成果だ。

「生物が神経毒を蓄えるためには、自分の神経系を再編する必要があります。私は、その仕組みを解明したかったのです」と、論文の共著者で、ナショナル ジオグラフィック協会から資金援助を受けている米テキサス大学オースティン校の生物学者レベッカ・タービン氏は語る。

「進化の過程でそんなことが起こる可能性は、ほとんどないように思われますが」

敵の動きをすぐに止めるために

毒ガエルたちは、自分の体内で毒を作り出しているわけではない。毒をもつダニやアリを食べて、その毒を体内に蓄えている。鮮やかな体色は、自分を食べようとする愚かな捕食者への警告だ。

一方、ヘビやサソリなどの捕食者も毒を用いるが、捕食者が毒を作用させるには、獲物を傷つけて体内に毒を注入する必要がある。彼らは毒で獲物を殺す必要まではないため、獲物を麻痺させるタイプの毒を使うのが一般的だ。

いずれにしろ、食べるものも食べられるものも、求めるのは相手の動きを止める即効性の毒だ。だから、神経系は魅力的なターゲットになる。実際、動物界で最強の毒の多くは、なんらかの方法で神経系を標的としている。

ある種の毒ガエルは、モルヒネのような作用をもつエピバチジンという化合物を蓄えている。エピバチジンはカエル1匹が蓄えている量でバッファローを1頭殺せるほど強力な神経毒で、アセチルコリンという神経伝達物質によく似た構造をもち、アセチルコリンが結合する受容体と結合して、その正常な働きを妨げる。

「配線の弱いところを、いろいろな道具で切っているのです」。米バージニア大学の生物学者で、タービン氏の論文を論評した生物毒の専門家ブッチ・ブロディー3世はそう説明する。

カギは遺伝子のわずかな変異だった

ところで、毒ガエルはどのようにしてエピバチジンを使いはじめたのだろうか?

「サイエンス」に発表された論文によると、エピバチジンを利用する毒ガエルのDNAの塩基配列を調べたタービン氏らは、カエルのアセチルコリン受容体の遺伝子がわずかに変異していることを突き止めた。

この変異によって、毒ガエルのアセチルコリン受容体は、アセチルコリンと結合するものの、エピバチジンとは結合しなくなり、カエルたちは自分が蓄えている毒の影響を受けずにすむようになったという。

さらに興味深いことに、カエルたちは進化の過程で少なくともそれぞれ別個に3度、この神経毒への耐性を獲得したことも明らかになった。この変異がそれだけ有用な証拠と言える。

ナショナル ジオグラフィック協会が支援する爬虫(はちゅう)類両生類学者で毒素学者でもあるゾルタン・タカシュ氏は、「実に美しい仕組みです。こうした仕組みは数例しか見つかっていません」と言う。「進化の作用と神経生物学の働きについて、貴重な知見が得られました」

毒にも薬にもなる

タービン氏の発見により毒への耐性とその進化の研究は大きく前進したものの、多くの謎が残っている。

例えば、毒ガエルがどこからエピバチジンを入手するかは分かっていない。食物に由来していることは明らかだが、具体的なところは不明なのだ。

実は、毒ガエルの毒については分からないことだらけである。タービン氏によると、毒ガエルからは800種類以上の化合物が見つかっているが、十分に解明されているものは70種類以下だという。

ブロディー氏は、これらの毒の起源を突き止め、動物たちがどのようにして耐性を獲得したかをもっとよく知ることにより、生物毒についての理解を深められると期待している。

また、エピバチジンは猛毒であると同時に、人間では依存性のない強力な鎮痛効果があることがわかっており、非麻薬性の鎮痛薬の開発にも期待がかかる。エピバチジンが結合するアセチルコリン受容体は、ニコチン依存症にも関わるため、ニコチン依存症の治療薬にもつながるかもしれない。(参考記事:「薬物、酒、ギャンブル… 脳科学で克服する『依存症』」)

「多くの場合、私たちは生物による化学物質の合成についてほとんど理解していません。生物の毒を理解できれば、人間にかかわることについても、もっとうまく対処できるようになるでしょう」

(文 Michael Greshko、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年10月3日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_