「理想は100年前の英国靴」 注文の過半は海外からビスポーク靴職人 福田洋平氏

2017/10/19

「履き心地も見た目のエレガントさも両方追求するわけですが、日本人の足は欧米人に比べて幅広く、甲高。しかし、足の形も『個性』なので、できるだけ奇麗なバランスに仕上げるように努力しています。ヒアリングを通じて最終的な靴のイメージをお客様とともに膨らませていくのが重要です」

東京・北青山にある「Yohei Fukuda」の工房。注文の半分以上が海外からだ

――ヒアリングから自分だけの1足が完成するまでにはどれくらいかかりますか。

「現在、5人のチームで製作していますが1カ月に7足です。新しいビスポークのご注文の場合は約2年、待っていただくようにお願いしています」

――日本のビスポーク靴の技術は急ピッチで進歩しているといわれます。

「日本の靴職人に対する技術評価は年々、高まっており、世界トップクラスの技術水準といえます」

「伝統的に製靴技術が優れているのは英仏伊の3カ国ですが、日本には『ものづくり』の伝統がある。その技術風土から短期間に靴作りの急所を吸収していると思います」

「ただ現在が革靴の頂点の時代ではないと考えています。技術的にも芸術的にも最高峰だったのは18世紀末期から1900年代初頭まででしょう。第1次世界大戦と革靴の大量生産で、ものづくりの考え方が変わったように思えます」

■「最高の普通」を追求

――だから「Yohei Fukuda」では100年前の英国靴のエッセンスを取り入れているのですね。

奇をてらわないデザインで、履く人の足を美しく見せ、しっかり歩けて、長持ちする「最高の普通」を追求する

「靴づくりの原点でもあるオックスフォード(靴ひもを通すための穴をあけた『羽根』が甲革と一体化している『内羽根式』の革靴)で、スーツを着た時に自然に溶け込んで全体のバランスが良く見えるように、いわば『最高の普通』を追求しています。デザインに奇をてらわず、履く人の足を美しく見せ、しっかり歩けて、長持ちする靴が理想ですね」

「私の製作したビスポーク靴には1点1点、ナンバーをつけており、現在550足を超えました。最初の5年間は専ら日本のお客様でしたが、今では海外からの注文が半分以上を占め、現在はフランスからの研修生も1人受け入れています。これからは日本の靴づくりを世界に発信していく段階に入ったとみています」

(聞き手は松本治人)

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