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「理想は100年前の英国靴」 注文の過半は海外から ビスポーク靴職人 福田洋平氏

2017/10/19

――卒業後も英国にとどまって技術を磨きました。

「ロンドンのビスポーク靴店のアウトワーカーとして約3年間経験を積みました。毎日通勤するのではなく自宅勤務の形で担当分野の作業を進めるわけです」

工房には顧客の足にあわせた木型が並ぶ

「自分なりに働き方を決めることができました。ただ好きなこと、楽しいことを仕事にすると夢中になってほとんど休みは取りませんでしたね」

■100年の時をこえて「伝説の職人」に学ぶ

「最初は主に靴の修理とサンプル靴の作製でした。靴の修理は300足以上を手掛けました。靴のつくりやバランスの良しあしがわかってきました。現在の職人がつくった靴だけでなく、『伝説』と呼ばれた靴職人、アンソニー・クレバリーが製作したビンテージシューズを修理することで、本当にさまざまなノウハウを得ることができました」

「その合間に100年前の靴を見たり、古い文献を読みあさったりしました。現在も履かれているクラシックな靴には細部のひとつひとつに意味があります。2007年に帰国し08年に東京の自宅を工房にしてブランド『Yohei Fukuda』を立ち上げました」

――日本でビスポーク靴が普及し始めたのは2000年ごろからだといわれています。約1足40万円と決して安価ではないため、気軽に買い求められるものではありません。

「08年に日本で自分のブランドを立ち上げた段階でもまだ認知度は低く、ゆったりと仕事をしていました。最初は友人らが注文してくれて。しばらくすると、徐々に顧客が増えていきました」

「現在、東京にあるビスポーク靴店は40店舗ほどでしょうか。恐らく世界一、ビスポーク靴店の多い都市でしょう。それでも修理やOEM(相手先ブランドによる生産・供給)、靴作り教室などとの兼業が多く、オーダー靴のみで経営している会社は全体の約2割でしょう」

――ビスポーク靴をあつらえるには、来店、ヒアリング、採寸、木型製作、仮縫い、完成といった手順を踏むことになります。ポイントはどこにありますか。

さまざまな工具を使い分けて顧客一人一人の足の形に対応する

「やはりヒアリングです。どのようなシーンに履いていくのか、どんなふうに自分を見せたいのかを詰めていきます。ビジネスシーンならば自分を主張しすぎず安心感のある黒い靴をお薦めします」

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