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「理想は100年前の英国靴」 注文の過半は海外から

ビスポーク靴職人 福田洋平氏

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NIKKEI STYLE

「足元を見ればその人となりが分かる」とすらいわれるように、靴は身だしなみの重要なアイテムだ。半面、足のかたちは十人十色なので、既製靴で自分にピッタリの一足を見つけることはなかなか難しい。より快適な履き心地を求めて、ビスポーク(オーダーメード)の靴を購入する人々も増えてきている。英国で靴作りを学び、修業を積んだ福田洋平氏は、日本を代表する靴職人の一人。海外からの注文も多い。




――日本人がビスポーク靴を身近に知るきっかけの1つは「南仏プロヴァンスの12か月」で知られる英国人作家、ピーター・メイルのエッセーだといわれます。福田さんは英国での語学留学中にシューメーカー(靴職人)への道を決めたそうですね。

「2000年、20歳の時に英国中部のノーサンプトンで靴博物館を訪ねたのがきっかけでした。ノーサンプトンは高級靴関連の産業が集積している地域です。展示してあった黒いストレートチップ(つま先の革の切り替えが一文字飾りになったデザイン)の革靴を見て心を奪われました」

「1900年代初頭に製作されたその靴は極めてオーソドックスなスタイルですが力強く、美しさが全く衰えていなかった。私はその完成度に感動してシューメーカーになることを決心しました」

「ノーサンプトンの公的な靴職業訓練校『トレシャムインスティテュート』に入学して2年間靴作りのノウハウを学びました。『ハンドソーンウエルテッド製法』と呼ぶ英国伝統の手作り技術です」

「学生は15人くらい。意外にも英国人は少なく、中国人やスイス人、ブラジル人など多くの国から来ていました。卒業後は自国に戻るばかりではなく、そのまま英国で靴作りに携わるケースも多かったです」

「学校では最初の1年で靴のパターンやクリッキング(革の裁断)、クロージング(ミシンの縫製)など基本を学びました。革は天然の素材ですから一枚一枚、作業が異なります。2年目はビスポークを中心に勉強しました」

――卒業後も英国にとどまって技術を磨きました。

「ロンドンのビスポーク靴店のアウトワーカーとして約3年間経験を積みました。毎日通勤するのではなく自宅勤務の形で担当分野の作業を進めるわけです」

「自分なりに働き方を決めることができました。ただ好きなこと、楽しいことを仕事にすると夢中になってほとんど休みは取りませんでしたね」

100年の時をこえて「伝説の職人」に学ぶ

「最初は主に靴の修理とサンプル靴の作製でした。靴の修理は300足以上を手掛けました。靴のつくりやバランスの良しあしがわかってきました。現在の職人がつくった靴だけでなく、『伝説』と呼ばれた靴職人、アンソニー・クレバリーが製作したビンテージシューズを修理することで、本当にさまざまなノウハウを得ることができました」

「その合間に100年前の靴を見たり、古い文献を読みあさったりしました。現在も履かれているクラシックな靴には細部のひとつひとつに意味があります。2007年に帰国し08年に東京の自宅を工房にしてブランド『Yohei Fukuda』を立ち上げました」

――日本でビスポーク靴が普及し始めたのは2000年ごろからだといわれています。約1足40万円と決して安価ではないため、気軽に買い求められるものではありません。

「08年に日本で自分のブランドを立ち上げた段階でもまだ認知度は低く、ゆったりと仕事をしていました。最初は友人らが注文してくれて。しばらくすると、徐々に顧客が増えていきました」

「現在、東京にあるビスポーク靴店は40店舗ほどでしょうか。恐らく世界一、ビスポーク靴店の多い都市でしょう。それでも修理やOEM(相手先ブランドによる生産・供給)、靴作り教室などとの兼業が多く、オーダー靴のみで経営している会社は全体の約2割でしょう」

――ビスポーク靴をあつらえるには、来店、ヒアリング、採寸、木型製作、仮縫い、完成といった手順を踏むことになります。ポイントはどこにありますか。

「やはりヒアリングです。どのようなシーンに履いていくのか、どんなふうに自分を見せたいのかを詰めていきます。ビジネスシーンならば自分を主張しすぎず安心感のある黒い靴をお薦めします」

「履き心地も見た目のエレガントさも両方追求するわけですが、日本人の足は欧米人に比べて幅広く、甲高。しかし、足の形も『個性』なので、できるだけ奇麗なバランスに仕上げるように努力しています。ヒアリングを通じて最終的な靴のイメージをお客様とともに膨らませていくのが重要です」

――ヒアリングから自分だけの1足が完成するまでにはどれくらいかかりますか。

「現在、5人のチームで製作していますが1カ月に7足です。新しいビスポークのご注文の場合は約2年、待っていただくようにお願いしています」

――日本のビスポーク靴の技術は急ピッチで進歩しているといわれます。

「日本の靴職人に対する技術評価は年々、高まっており、世界トップクラスの技術水準といえます」

「伝統的に製靴技術が優れているのは英仏伊の3カ国ですが、日本には『ものづくり』の伝統がある。その技術風土から短期間に靴作りの急所を吸収していると思います」

「ただ現在が革靴の頂点の時代ではないと考えています。技術的にも芸術的にも最高峰だったのは18世紀末期から1900年代初頭まででしょう。第1次世界大戦と革靴の大量生産で、ものづくりの考え方が変わったように思えます」

「最高の普通」を追求

――だから「Yohei Fukuda」では100年前の英国靴のエッセンスを取り入れているのですね。

「靴づくりの原点でもあるオックスフォード(靴ひもを通すための穴をあけた『羽根』が甲革と一体化している『内羽根式』の革靴)で、スーツを着た時に自然に溶け込んで全体のバランスが良く見えるように、いわば『最高の普通』を追求しています。デザインに奇をてらわず、履く人の足を美しく見せ、しっかり歩けて、長持ちする靴が理想ですね」

「私の製作したビスポーク靴には1点1点、ナンバーをつけており、現在550足を超えました。最初の5年間は専ら日本のお客様でしたが、今では海外からの注文が半分以上を占め、現在はフランスからの研修生も1人受け入れています。これからは日本の靴づくりを世界に発信していく段階に入ったとみています」

(聞き手は松本治人)

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