Men's Fashion

ウォール街の「制服」 ピンストライプを粋に着こなす

トレンド

力強さと清潔感を再発見

2017.10.9

ESQUIRE

ピンストライプのスーツと聞くと、ウォール街や銀行家をイメージする人が多いのではないか。あるいは映画で描かれたギャングの装いを連想するかもしれない。伝統的なこの柄には力強さや清潔感を演出できる特徴をあわせ持ち、カジュアルとも相性が良い。ストライプのジャケットとパンツをうまく着こなすスタイルを紹介しよう。




ピンストライプやチョークストライプの柄を思い浮かべると、赤のサスペンダーと経費でお酒を飲みながらするランチが大好きなお金持ちの姿も思い浮かばないだろうか? どういうことかって? ピンストライプの着こなしを一般的にしたのが金融業界の人々だということだ。1800年代前半、トップハットと燕尾服がロンドンで流行していたとき、パンツのストライプ柄は着用者の働く銀行がどこかを示すものであった。この柄は、英国ではぎりぎりフォーマルの範囲にあったが、米国の人々は、このストライプをよりカジュアルなネイビーの2ピースや「カントリー」ブラウンの3ピース、『華麗なるギャッツビー』でレオナルド・ディカプリオ演じるギャッツビーが着用したパステルのスーツまで、様々に再解釈した。

その後すぐ、アル・カポネのようなギャングがこのスタイルを取り入れ、これ以降、ピンストライプはぞっとするようなシカゴでの抗争事件(「聖バレンタインデーの虐殺」)を連想させるものとなった。しかし、数十年後の輝かしい80年代に、ピンストライプは改めて金融の世界に戻ってくる。『ウォール・ストリート』のゴードン・ゲッコー、『アメリカンサイコ』のパトリック・ベイトマン、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のジョーダン・ベルフォートなど、映画のなかの金融マンたちは、いずれもピンストライプスーツに身を包んでいた。そして、2017年、ピンストライプ(および一般的な縦縞模様)は完全に返り咲きし、その使い方はますます面白みを増している。こういったピンストライプは、もはや『ウォールストリート』の金融マンや『アメリカンサイコ』の連続殺人鬼を思わせるものではないのだ。

「ピンストライプは、テーラーやメンズウェアのメッセージをいち早く反映します」そう話すのはチェルッティ1881のクリエイティブディレクターを務めるジェイソン・バスマジアン氏だ。

「ピンストライプはパワフルで清潔感がありクラシックな柄です。今シーズンは、さまざまな太さや幅のピンストライプをリネンやコットン混素材、ウールシルクなどの新たな生地と組み合わせ、従来のピンストライプよりリラックスした雰囲気を出そうと試みています。ファッションがこれまでの常識を疑い、作り直そうとしている現代においては、これも正しい方向性でしょう」(バスマジアン氏)

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最後に、ピンストライプのアイテムを使ったスタイリングをいくつか紹介しよう。