鴎友学園女子中学高校の吉野明校長

「良妻賢母」ではなく、「男女同権」を掲げ、リベラルアーツ教育を推進したが、2人のカリスマが相次いでいなくなると、教育水準が下がり、定員割れを起こすまでになった。

「SOS」女子校3校で再生

「学校がつぶれる」(吉野校長)と学校改革がスタートしたのは1985~86年だという。「慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造」という創立の理念に立ち返り、リベラルで自己肯定型の女性を育てるため、アクティブラーニングを推し進めた。1学年の生徒定員は中学120人、高校250人だったが、高校入学を廃止して完全中高一貫制に改めた。

当時、都内の女子校は経営難に陥る女子校が少なくなかった。90年代後半には品川女子学院中高、洗足学園中高と3校で学校運営の研究会を立ち上げた。皮肉な通称だが、3校の頭文字をとり、「SOS」と呼ばれた。その後、この3校はいずれも再生、進学実績が向上して人気女子校となっている。

3日に1度は席替え 友人関係を構築

鴎友は徹底して女子校にしかできない教育を追求した。理系嫌いをなくす中1時の生物の授業もそうだが、入学1年目は約30人の8クラスとして、中2以降は40人、6クラス体制とした。そして3日に1度は席替えをするという。「男子生徒だと、入学してすぐにクラスの中をそれぞれが歩き回って友人の輪をつくる。しかし、女子生徒はきちんと座っているので隣の席の子と仲良くなるぐらい。しかも女子は秘密の話が好きなので、小さな輪ができ、ときには仲間はずれになる子もいる」と吉野校長は説明する。頻繁に席替えすることで、友人関係を構築するのが狙いだ。

現在の鴎友の名物は10月の運動会だ。今年は5日に開かれたが、学年対抗で各競技が繰り広げられ、女子とは思えぬほどの歓声が響く。事前に「お騒がせして申し訳ありません」(吉野校長)と近所に挨拶回りをしなければならないほど、活気に満ちている。

鴎友のある保護者は「都会だけど、ノビノビしている進学校。生きた英語力もつくし、2020年度の大学入試改革にも対応できそうだ」と評価する。

卒業生には、経済分野ではビーフォーシー代表取締役で人材育成コンサルタントの相部博子さんやIT業界で活躍する五十風悠紀さんがいる。また芸能・メディア関係者として、NHKアナウンサーの桑子真帆さんのほか、音楽評論家で作詞家の湯川れい子さんや女優の岡江久美子さんもいる。SOSを脱し、新女子御三家と呼ばれる進学校に躍進した鴎友。自己肯定型の元気な女性が次々飛び出してゆきそうだ。

(代慶達也)

マネジメント層に必要な4つのスキルを鍛える講座/日経ビジネススクール

会社役員・経営幹部の方を対象とした、企業価値を高める経営の実務に役立つビジネス講座を厳選

>> 講座一覧はこちら

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら