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使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

iDeCo、放置は禁物 始めたらサイトで資産見守ろう iDeCoで投資デビュー(9) オフィス・リベルタス 大江加代

2017/10/4

自分の年金資産はかわいいペットと同じ。大事に見守って育てよう 写真=PIXTA

 今回は今までと趣を変えて、加入後の話をしたいと思います。

 確定拠出年金(DC)での年金資産づくりは個人型のiDeCoも含め、おおむね以下のような流れになります。まず金融機関を決め、自分にあった掛け金額、商品配分を決定して、積み立てをスタートします。その後は月1回積み立てを行う期間が長く続きますが、60歳で積み立てを終えたら年金の受け取りを始め、最後に受け取り終えるまで、主に「加入者サイト」を使って自分の年金資産を運用していくことになります。

 つまりiDeCoやDCの加入者サイトは、加入したら何年、何十年もつきあい、それを通じて自分の年金資産を守り育てていく大切なツールなのです。そのため、何はなくとも加入後早い段階で、手元にある口座番号とパスワードを使って一度iDeCoの加入者サイトにログインし、ぜひブックマークしておいてください。

 というのも、加入者サイトに入るために必要な口座番号やパスワードは加入時に別々に封書や圧着はがきで自宅に届くので、ダイレクトメールなどに紛れて捨ててしまったり、逆に大事にしまい込み過ぎて、いざという時にどこに行ったか分からなくなってしまったりしがちです。実際に「パスワードが見つからない」というケースが非常に多いのです。残念ながらすでになくしてしまったという方はコールセンターに連絡して、再発行を依頼しましょう。1週間から10日程度で自宅に届くはずです。

■iDeCoでも放置は禁物

 運用中、経済やマーケットのニュースに触れた時に「さて、自分の年金資産は今どうなってるのかな」と関心を持ち、ニュースとの関連性や影響度を考えるのはとても重要なことです。自分の年金資産を守るだけでなく、実践的に投資を学ぶ上でも役立ちます。しかし、残高を確認しようにもログインに手間取ったりすると、もうその時点で面倒になってしまって「後でいいや」となりがちです。結果として何年も残高確認もせず商品の最新情報も見ない、という事態になれば、それは自分の年金資産づくりを放棄してしまうことにほかなりません。

 iDeCoは確かに、知らず知らずのうちに自分の年金資産が積み上がっていくのが長所ではあります。だからといって放ったらかしにはせず、せめて年1回ぐらいは残高を確認しておくことが大切です。現在の残高や運用の経過を見ることはもちろん、当初自分が決めた資産配分から、それぞれの資産の値上がり・値下がりによって残高の割合が大きくズレていないか、といったことも確認し、必要があれば軌道修正してください(これをリバランスといいます)。

 そんな時に役立つのが、資産配分見直しのためのシミュレーションです。前回「iDeCoは試算が大事 老後不安の解消にねんきんネット」で取り上げた資産配分シミュレーターは、残高ゼロで運用をスタートする時のものですが、こちらは配分の見直しによって、リスク・リターンがどう改善されるか試算するものです。ただし、残念ながらすべての運営管理機関がこの機能を用意しているわけではないようです(大手運営管理機関の加入者サイトにはほぼ搭載されています)。

■企業型DCで磨かれた加入者サイト

 加入者サイトには、こうした運用サポートだけでなく商品の最新情報、詳細情報やiDeCoの専門用語の解説、受け取り方に関する情報などもあります。さらにはiDeCoも含めたライフプラン全体を考えるコンテンツもあり、他での投資も併せた自分の資産全体を考えることにも活用できます。一般的にiDeCoの加入者サイトは他の証券取引サイトに比べ、ネット初心者にも使いやすく、コンテンツが充実しているのが特徴です。

 これは企業型の確定拠出年金の恩恵と言ってもいいでしょう。確定拠出年金が誕生してから16年にわたり、制度を導入している大企業から運営管理機関に「もっとサービスを向上させて」というプレッシャーが続いたことによって加入者サイトの改善が促進され、リニューアルを繰り返しながら内容が着実にレベルアップしてきました。結果としてその恩恵を個人型のiDeCo加入者も受けられる状態になっています。

iDeCoナビの「ホントに使える加入者向けWEBサイト2017」の一部

 なお情報を見るだけでなく、運用商品を変更する「運用指図」もほぼ加入者サイトで行いますから、運用におけるネット上でのサポートはとても大事です。しかしここに問題が一つあり、比較検討したくても加入者向けサイトは加入後でないと体験できないのです。この部分を見比べて金融機関選びの参考にするのは事実上不可能でした。

 そこで、筆者が関わっているNPO法人 確定拠出年金教育協会では運営管理機関9社に協力してもらい、iDeCoのポータルサイト「iDeCoナビ」(http://www.dcnenkin.jp/)で、「評判の良い運営管理機関」のサービス評価の掲載を始めました。これはネットでの証券取引に慣れていない人の目線で、「運用したり手続きしたりする際に必要だと思う機能、情報掲載があるかどうか」を基準として、レーダーチャートや☆の数で評価しています。トップページの「ホントに使える加入者向けWEBサイト2017」というバナーを押せば、どなたでもご覧いただけます。今後加入を検討される方はもちろん、FPとして相談を受ける方の参考にもしていただけたらと思います。

 iDeCoは加入した後も運用商品はいつでも変更できますし、掛け金額も年1回は変更ができます。場合によっては掛け金をゼロにする「休止」、そしてその後の「再開」といった手続きもできますから、決してiDeCoの運用を放置することなく、自分の年金資産を守り、大きく育ててください。

大江加代
 大手証券会社で22年間勤務し、一貫して勤労者の資産形成に携わる。確定拠出年金については法の成立前から10年以上企業型の現場で関わり、のべ25万人に対する投資教育の企画・運営にも携わった。現在はオフィス・リベルタス取締役で、NPO確定拠出年金教育協会理事として情報サイト「iDeCoナビ」も創設。http://www.dcnenkin.jp/

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