これ以外に「時間を変えて現地を見よ」という鉄則もあります。ただ、こちらはなかなか難しいところもありますね。忙しい共働き世帯にとって、平日の昼や夜に現地を見に行くというのはなかなかハードルが高いものです。ですので、「少なくとも夜だけは見に行った方がいい」とアドバイスするようにしています。また、最近ですと「Googleマップ」を使うのもお薦めです。工場など、騒音が出そうな施設の位置を事前にチェックできます。

一方で、銀行ローンについては注意すべき点が出てきました。金利の安さなどから最近、急速に人気が高まっているネット銀行の住宅ローンは、うっかりすると融資が間に合わず、売買に支障を来す可能性があるのです。

――具体的に教えてください。

メガバンクなどが提供する住宅ローンの場合、通常は審査申し込みから融資まで1カ月ほどみておけば問題ありません。このため、売買契約書には「契約締結から1カ月後に決済・引き渡しを行う」といった文言が盛り込まれているケースが大半です。

ところが、ネット銀行は手続きに時間がかかることが多く、審査の申し込みから2カ月~2カ月半は余裕をみておく必要があります。これを知らずに「1カ月後に決済」という売買契約書を作ってしまい、後で決済が間に合わないと分かって大騒ぎになるケースが散見されるようになりました。これを防ぐには、売買契約を結ぶ前の段階で、担当の営業スタッフに「ネット銀行を使うから決済日を少し延ばしてほしい」と伝え、了解を取り付けておく必要があります。

実は、ネット銀行の住宅ローンが広く使われるようになったのは、ここ2、3年のことなんですよ。なので、不動産の営業スタッフもまだ慣れておらず、融資までに時間がかかると知らずに契約を進めてしまうことがあるのです。

当社のお客さんでも、ぎりぎりになってネット銀行のローンを申し込みたいという話になり、私が隣でつきっきりになって書類を作ってもらったことがあります。そのケースでは申し込みから1カ月半ほどしか猶予がなく、本当に焦りました。ネット銀行は書類のやり取りが郵送になりますので、仮に書類に不備があったら一発でアウトです。幸い、この方はギリギリで間に合ったのですが、その1カ月半は本当に気が気ではありませんでした。

――ちなみに、何割くらいの方がネット銀行の住宅ローンを使っているのですか。

当社でいえば、7割くらいですね。しかも、ネット銀行を利用される場合は、ほぼ100%が変動金利を選択されています。人気が高いのは楽天銀行と住信SBIネット銀行で、最近はじぶん銀行を選ぶ方も増えてきました。

変動金利で比較すると、メガバンクとくらべてネット銀行は0.2~0.3%ほど金利が低くなります。当社のお客さんの場合、5000万円を35年間で借り入れて、繰り上げ返済で20年ほどで返済していくケースが多いのですが、支払総額はネット銀行だと210万円ほど安くなります。団体信用生命保険の内容も、例えば楽天銀行や住信SBIネット銀行では8大疾病保障が無料でついてくるなど手厚いので、ネット銀行の住宅ローンを選ぶ方は今後も増えていくでしょう。

針山昌幸さん
1986年東京生まれ。2009年に大手不動産会社に入社し、戸建てやマンションの仲介、用地の仕入れなど幅広く経験。不動産業界の非効率さに疑問を感じ、ITで効率化を図りたいと楽天に転職。2014年にハウスマートを創業し社長に就任。ITを活用して不動産営業の効率を高め、仲介手数料を半額に抑えた中古マンション仲介サービス「カウル」(https://kawlu.com/)の運営などを手掛ける。著書に「中古マンション本当にかしこい買い方・選び方」(日本実業出版社)がある。

(マネー研究所 川崎慎介)

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