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2020年から見える未来

五輪がダウン? サイバー攻防は「AI対AI」の時代に オリパラが鍛えるサイバーセキュリティー(下)

2017/10/6

国は今年度から、サイバーセキュリティー人材を育てるためのプログラム「セックハック」を始めた(8月23日、福岡市)

2020年の東京五輪・パラリンピックをきっかけに、日本でサイバー攻撃に対する関心が高まっている。遅れていた人材育成も機運が盛り上がってきた(前編の「ハッカー育成は小学生から 五輪のサイバー攻撃に備え」)。サイバー攻撃と防御の最新動向について、国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)「ナショナルサイバートレーニングセンター」の園田道夫センター長(55)に聞いた。

■「いいチケットあげます」で釣られるかも

ナショナルサイバートレーニングセンターの園田道夫センター長

――東京五輪・パラリンピックに対するサイバー攻撃をどう予測しますか。

「12年のロンドン大会あたりから、五輪・パラリンピックがたくさんのサイバー攻撃を受けるようになりました。(大会関係のウェブサイトなどに)アクセスを集中させてサービスを不可能にするDoS攻撃です。単純な嫌がらせなのですが、意外に効果があります。現在はチケットの予約、競技情報の提供、選手の生活に関わることまで、すべてネットを介していて、それらが止まったり滞ったりすれば五輪・パラリンピックの信用に傷がつきます。運営している国の信用にも傷がつくでしょう。受ける側としては、ありとあらゆる攻撃の可能性に備えなければなりません」

――五輪・パラリンピックに参加している国家が大会を攻撃することは考えにくいですし、多額のお金にかえられるような極秘データを五輪・パラリンピックが扱っているわけでもありません。だれが、どのような意図で攻撃するのでしょうか。

「『嫌がらせしてやった』と世間に言いたい人はたくさんいます。全世界から注目を集めている五輪・パラリンピックが仮に1時間止まったとして、犯行声明を出してそれがニュースで取り上げられれば、手っ取り早い宣伝になります」

――ロンドンでは2億回以上の攻撃があったといわれます。東京ではケタが上がることもあるのでしょうか。

「2億回の中身が分からないので何ともいえませんが、大幅に増えても不思議はありません。DoS攻撃は一般のコンピューターを組織化して、そこから一斉にアクセスするケースが多いのですが、ひとつひとつのコンピューターの性能が上がった結果、嫌がらせする側の性能もどんどん向上しています。加えて、あらゆるモノがネットにつながる『IoT』の時代になり、東京大会では会場などにカメラやセンサーがたくさん設置されるでしょう。それらが踏み台として悪用される恐れもあります」

「1000台のコンピューターから一斉にアクセスがあったとして、それは本当に人気が集中しているためなのか、それとも嫌がらせなのか、今なら人が見て何となく分かりますが、攻撃が巧妙になってくると見分けがつかなくなります。受ける側はますますコンピューターの性能を向上させなければなりません」

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