オリパラ

2020年から見える未来

ハッカー育成は小学生から 五輪のサイバー攻撃に備え オリパラが鍛えるサイバーセキュリティー(上)

2017/10/5

セックハックの受講者は自分たちのアイデアをもとにサイバーセキュリティーの仕組みを構築する(8月24日、福岡市)

世界中の注目が集まる五輪・パラリンピックは、大規模なサイバー攻撃がしかけられる恐れがある。2020年の東京大会は大丈夫なのか。防御のための専門家は足りているのか。危機感をバネに、国をあげて人材育成が始まった。優秀な若者を集めて最先端の技術を教えるとともに、攻撃と防御に分かれた実戦さながらの演習も実施する。世界での出遅れを挽回する絶好の機会だ。

■小学生と大人が対等に議論

「なるほど、その手があったか」

「ありがとう。勉強になったよ」

きゃしゃな体つきをした小学生を取り囲み、背丈が2倍はあろうかという大学生が真剣な表情で意見を交わしている。総務省が17年度から始めた「SecHack(セックハック)365」の一幕だ。公募で選ばれた若者が、1年かけてサイバー防御のための仕組みを開発する。年齢や肩書による上下関係はなし。完全な実力本位だ。

セックハックの受講生は小学5年生から社会人まで幅広い(8月23日、福岡市)

運営するのは、国立研究開発法人の情報通信研究機構(NICT)が17年4月に立ち上げた「ナショナルサイバートレーニングセンター」。25歳以下を対象に公募したところ予想を上回る358人が集まったため、8分の1の47人に絞り込んだ。年齢や学校などの属性はあえて見ずに、こんなことをやってみたいという論文の面白さだけで選んだという。

内訳は社会人が5人、大学生(院生含む)が28人、工業高等専門学校生(高校生、専門学校生含む)が12人、小学生と中学生がぞれぞれ1人。「若い人の方がフラットに物事を見て、フレキシブルに考えられる。サイバーセキュリティーについて漠然としか考えていなかった人が、突然スイッチが入ったように猛勉強し始める。そんな『化ける』きっかけを作りたい」と園田道夫センター長は話す。

8月23~25日に福岡市であった合宿をのぞいてきた。17年度に5回開かれる合宿の2回目にあたる。1回目の合宿で顔合わせをすませているせいか、滑り出しからガヤガヤとにぎやかだ。

「カラフルちゃん」というテーマで発表したのは石川高専(石川県津幡町)の中島千咲さん(18)。人の表情や会話から感情を読み取って部屋の明かりや壁の色を変えれば、次の行動を察知できるというアイデアだ。「どうやって読み取るかがポイント。その人の体温やキーボードをたたく強さも参考になるかもしれない」。すかさず周囲から提案が飛ぶ。

木更津高専(千葉県木更津市)の望月雄太くん(19)はサイバー攻撃の種類や規模をリアルタイムで地図上に表す「サイバーマップ」を発表した。攻撃側の意図や動きを読み、次に備えるためだ。「普段の学校は一方的に教えてもらうだけだが、ここは自分から働きかけた分、どんどん反応が返ってくる」と目を輝かせる。

特定の個人や組織にメールを送りつけ添付したファイルなどを開くと感染する標的型メールについて、データベースを作ることを提案したのは関西大学の高岡奈央さん(22)。「共通する特徴を割り出し、それをもとにフィルタリングをかけたい」と訴えた。

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