乃木坂46 5つの分野で個々が活躍、グループの躍進へ
2017年の乃木坂46はトップアイドルグループとして盤石の地位を築いたといえる。なかでも存在感を示したのが、CM・イメージモデル、バラエティー、ライブ、CD、映画・舞台という5つのジャンルだ。個々のメンバーが活躍の場を広げたことが、グループのパワーアップにつながった。誰がどんな活動に挑み、グループの躍進に貢献したのかを見ていこう。
【CM・イメージモデル】白石、西野らがお茶の間へ
17年に入り、乃木坂46が相次いでCMに起用され、幅広い層の目に触れる機会が増加した。
「じゃらん」のCMには秋元真夏、伊藤万理華、斉藤優里、桜井玲香、白石麻衣、高山一実、寺田蘭世、西野七瀬、星野みなみ、松村沙友理の10人が「乃木夏46」として登場。
バイトルのCMにはシングル表題曲を使用。メンバーが様々な職業の制服を着たマネキンにふんして、代表曲『制服のマネキン』をほうふつさせる演技を見せる「かわいい制服編」には白石、高山、西野、堀未央奈、松村、若月佑美が出演。8月からオンエアが始まった新編は渋谷ヒカリエで開催された「学ぶ!未来の遊園地」の幻想的な空間でロケが行われ、西野らに加えて、3期生12人全員も出演した。
ブルボン「フェットチーネグミ」には秋元、寺田、西野、樋口日奈が出演。秋元と樋口、西野と寺田それぞれの組み合わせによるダンスシーンが印象的。知名度が高い秋元、西野だけでなく、2期生の寺田、3月発売の『インフルエンサー』で9作ぶりに選抜復帰した樋口にもスポットライトが当たり、グループの底上げにつながった。
抽選で乃木坂46グッズをプレゼントした明治の「乃木坂46ゆったりボボーノキャンペーン」など、CMに連動してキャンペーンやイベントが行われることが多かった。
【バラエティー】アンダーメンバーの出演も増加
冠番組だけでなく、17年は乃木坂46のメンバーたちがソロで様々なバラエティー番組に出演。
このジャンルの先駆者、高山一実は『潜在能力テスト』(フジテレビ系)などで引き続き活躍。17年に一気にバラエティー番組への出演を増やした秋元真夏は『Qさま!!』『林修の今でしょ!講座』(いずれもテレビ朝日系)などに出演し、知性派アイドルとして知名度が上昇した。
キャプテンの桜井玲香は、4月から語学番組『テレビでハングル講座』(NHKEテレ)に生徒役で出演中。ハライチ澤部らが出演した『舞台バラエティ 澤部パパと心配ちゃん』(5月放映)では星野みなみが謎の少女を演じ、コントに挑戦した。現役大学生の斎藤ちはるは、『世界ふしぎ発見!』(TBS系)の台湾編に出題リポーター「ミステリーハンター」として初出演。フロント常連以外のメンバーにもスポットライトが当たり、彼女たちのモチベーション上昇効果にもつながった。
得意分野をきっかけに他ジャンルの番組へ進出する動きもある。NHK Eテレの将棋番組の司会で知名度が上昇した伊藤かりんは『ディズニー・トラベラー』(ディズニー・チャンネル)で小島よしおと共演した。
【ライブ】東京ドーム2デイズ公演が決定
2月には「乃木坂46 5th YEAR BIRTHDAY LIVE」がさいたまスーパーアリーナで3日間にわたって開催。延べ約10万人を動員した。
7月からスタートした「真夏の全国ツアー2017」は、16年までファイナルの会場だった明治神宮野球場からスタート。3期生から始まり、期ごとのパフォーマンスを見せるという、これまでになかった試みにチャレンジ。最後に全メンバーが集うセットリストで、各メンバーごとに見せ場のある構成が話題を集めた。11月には東京ドームでの初コンサートが開催決定。初劇場公演から約6年9カ月の12年8月に初開催したAKB48よりも、約半年早い結成から6年3カ月での実現となる。
一方で、選抜メンバー以外のアンダーメンバーは、乃木坂46全体が行ったことのない地域でライブを見てもらうという狙いから、これまでは地方都市での公演が多かった。しかし、17年は4月に東京公演を東京体育館で3日間開催。10月には九州ツアー4都市7公演を予定する。
【CD】3期生がWセンターに大抜てき
17thシングル『インフルエンサー』(3月発売)は、白石麻衣と西野七瀬のWセンター。「バイトル」のCMソングとなった。
5月には3rdアルバム『生まれてから初めて見た夢』をリリース。SHOWROOMで1週間、メンバーが日替わりで出演するアルバム発売記念の生配信が行われた。同作は、3作連続となるアルバム・チャート1位を記録。
18thシングル『逃げ水』(8月発売)では、16年9月に加入したばかりの3期生・大園桃子と与田祐希の2人をWセンターに大抜てき。その両脇を1期生の白石麻衣と西野七瀬が固める。発売5週目でミリオンセールスを達成、『インフルエンサー』に続く2作目のミリオンタイトルとなった(オリコン調べ)。カップリング曲の『女は一人じゃ眠れない』は映画『ワンダーウーマン』のイメージソング、『ひと夏の長さより…』がフジテレビ『お台場みんなの夢大陸2017』テーマソング、高山一実が初センターを務める『泣いたっていいじゃないか?』は日テレ『全国高等学校クイズ選手権』応援ソングに選ばれた。
『逃げ水』のカップリング曲には、2ndアルバム(16年5月発売)以来となる2期生メンバー全員楽曲『ライブ神』と3期生メンバー全員楽曲『未来の答え』を収録。期ごとのパートに分かれた「真夏の全国ツアー2017」の構成にリンクしている。『未来の答え』は「3人のプリンシパル」で活躍した久保史緒里と山下美月がWセンターに。
【映画・舞台】生田がミュージカルで高評価
17年は、メンバーたちの女優としての活躍も目立った。同じ原作を異なるメンバーが舞台と映画で演じる『あさひなぐ』では、多くのメンバーが演技の素質を発揮する場となった。
ミュージカルで高いポテンシャルを発揮した生田絵梨花が脚光を浴びたが、ほかにも舞台にソロ出演したメンバーが多かった。生駒里奈は、8月に宇宙飛行士、毛利衛による児童文学が原作の『モマの火星探検記』で舞台初主演。11月から上演の福田雄一脚本・演出、安田顕主演による『スマートモテリーマン講座』には、舞台経験豊富な若月佑美が出演する。
舞台では、乃木坂46から複数のメンバーが出演するケースも多く、高橋留美子の人気コミックが原作の『犬夜叉』(4月)には伊藤純奈と若月が出演。松村沙友理が活躍した『FILL-IN~娘のバンドに親が出る~』(7月)には、日替わりゲストとして、秋元真夏と伊藤かりんが出演している。
また、人気が高まる2.5次元ミュージカルでは、能條愛未が16年に続き、『カードファイト!!ヴァンガード~バーチャル・ステージ~』のシリーズ最新作『リンクジョーカー編』(4月)でヒロイン役として活躍。
映画では、個人PVで垣間見せる演技力に定評がある伊藤万理華が『傷だらけの悪魔』(2月公開)に主人公の親友役で出演した。
17年はテレビドラマでは乃木坂46のメンバーの目立った出演はまだない。しかし、舞台をキャスティングの参考にするプロデューサーも多いといわれるだけに、今後は連ドラに起用されるメンバーも出てきそうだ。
(日経エンタテインメント! 伊藤哲郎、ライター 高倉文紀)
[日経エンタテインメント! 2017年10月号の記事を再構成]
10月10日(火)メンバーが5つの分野で活躍
10月11日(水)汗と涙のアンダーライブ
10月12日(木)3期生がグループを活性化
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