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女性の描き方めぐり、ネットCM炎上 その背景は? メディアとジェンダーの専門家2氏に聞く

2017/10/3 日本経済新聞 朝刊

 女性タレントを起用した宮城県の観光PR動画が性的表現を多分に含むと批判されるなど、広告での女性の描き方をめぐる問題が頻発している。その多くはインターネット上で公開されたCMだ。相次ぐ炎上の背景は。メディアとジェンダー(社会的性差)の専門家に聞いた。

 ◇   ◇   ◇

■東京大大学院教授 林香里さん「性の議論まず学校で」

ロイター通信に勤めた後、東京大学大学院で博士号(社会情報学)を取得。ドイツ・バンベルク大学客員研究員などを経て2009年から現職。専門はジャーナリズム論。53歳

 ――女性に関するCM炎上の頻発をどう捉えますか。

 「問題となっている表現は大きく2つに分けられる。一つは女性を一方的に性的対象として描くもの。これは女性の人権に関する問題であり、性暴力の問題ともつながる。公共空間での許容度は極めて低いと考えるべきだ」

 「もう一つが男女の役割分業に関するもの。『育児は母親の仕事』といった固定観念に基づく安直な表現への批判だ。時代の変化の中で男女の役割意識も揺らいでいるが、発信者側がそれに無自覚で、人々のセンシティビティ(敏感さ)を理解できていないケースが多い」

 ――ネットCMが議論を呼ぶ例が多い理由は。

 「テレビや新聞には出せないコンテンツでも、ネット上なら許されるという意識が企業側に少なからずあるのではないか。欧米ではネットに政治経済ニュースを期待する人が多いが、日本はネットに娯楽というイメージが強い」

 ――英広告基準協議会は7月、広告が性のステレオタイプを広めることがないようガイドラインを作りました。

 「業界のガイドラインも重要だが、教育と意識の問題が大きい。欧米では学校教育過程でジェンダーや人権の問題を議論する機会があり、性による差別はなくさなくてはいけないという意識を規範として身につけさせられる。日本は女性差別について論じることをタブー視しがちだ」

 ――炎上すると公開をやめて終わり、となりがちです。

 「再発のリスクを減らすには、情報の受け手側の意見を聞きながら製作過程を検証する姿勢が不可欠だ。不適切なジェンダー表現が企業にもたらすダメージは大きい。トップはそれを認識し、意識改革を進めるべきだ」

 ――情報の受け手側に求められることは。

 「メディアが提示する価値観を無批判に取り込まないこと。最近は仕事も家事・育児もこなし、おしゃれも楽しむ女性を描く広告やドラマが多い。その役割期待をすべて果たさなくてはと思い込み、苦しくなる女性は多いのではないか。『幸せな女性像』にとらわれることなく、自分らしい生き方を考えてほしい」

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