ストレスチェックを「最強の自分」作りに生かそう

日経Gooday

自身のストレスに気付き改善に結びつけるツールとして、ストレスチェックを上手に活用しよう(c)gstockstudio-123rf
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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

こんにちは、精神科医で産業医の奥田弘美です。秋らしい涼風を感じる日が増えてきました。あなたの心と体はお元気でしょうか? さて今回も引き続き「ストレスチェックの活用」をテーマにお伝えしたいと思います。

前回「何となく憂うつ そんなときのストレスチェック活用術」でご案内しましたが、厚生労働省のHP「こころの耳」というサイトでは誰でも気軽にストレスチェックを受けることができます(「5分でできる職場のストレスセルフチェック」[注1]。厚労省が推奨している基本的な57項目質問票(職業性ストレス簡易診断システム)に基づいてストレスチェックを受けることができ、分析結果も提示されます。まだストレスチェックを受けたことがない方も、前回受けてから数カ月経過している方も、ぜひ気軽にストレスチェックを受けてみてください。

このストレスチェックを受けると、図のような3種類のレーダーチャートで結果が表示されます。

「5分でできる職場のストレスセルフチェック」の著者の結果

ちなみに、ここに掲載した図は筆者のストレスチェックの結果です。筆者は幸い「高ストレス状態」ではありませんでしたが、3種類のレーダーチャートはそれぞれ興味深い結果を示してくれています。前回「何となく憂うつ そんなときのストレスチェック活用術」ではこの3種類のレーダーチャートのうち、「ストレスの原因因子」のチャートの読み方を解説しました。今回は残りの2つについて見ていきましょう。まずは「ストレスによる心身反応」です。

■「ストレスによる心身反応」のチャートはこう見る

このチャートでは、ストレスによって、あなたの心と体にどんな反応・症状が表れているかをチェックすることができます。しかも、前回ご説明した「ストレスの原因因子」のチャートは仕事上でのストレス因子の考察しかできませんでしたが、この「ストレスによる心身反応」のチャートは、家庭生活や友人関係、コミュニティーなどでのストレスの影響も反映しています。

では具体的に項目を解説していきましょう。このチャートには、「活気」「イライラ感」「疲労感」「不安感」「抑うつ感」「身体愁訴」の6項目がありますが、これらの項目のなかでどれか一つでもチャートの中心の「要注意ゾーン」やその近くにプロットされている人は、文字通り「要注意」の状態です。

まず「活気」が要注意ゾーンの人は、当然ながら「気持ちのはつらつさ、元気さ」が低下しています。活気は体が疲れていても心が疲れていても低下してしまいます。「最近、面白くない仕事ばかりが増えてゲンナリしている」「家族との間でトラブルが起こって、気力が萎えている」といった心理的な影響でも活気は下がりますが、体そのものの調子が悪くても活気は大いに低下します。そのため自分の体の調子はどうかも合わせてチェックしていくことが必要です。

「身体愁訴」「疲労感」が要注意ゾーンなら医療受診を

体の調子をチェックするには、「身体愁訴」や「疲労感」の項目も重要です。「身体愁訴」(体の何らかの不調)、もしくは「疲労感」が要注意ゾーンもしくは要注意ゾーンに近い方は、体調が悪かったり体力が消耗していたりする可能性が大です。ぜひ思い切って該当する科を受診してみましょう。

例えば頭痛や胃痛、腹痛、腰痛などは、激しく症状が悪化していない限りは医療受診をせずに市販の薬でごまかしている人が特に多い症状ですが、2週間以上症状が続いていたり、何カ月も頻繁に症状が出現しているようならば、医師に相談してください。体の不快感が消えるだけで、仕事へのやる気や集中力が見違えるようによみがえることがあります。

[注1]http://kokoro.mhlw.go.jp/check/

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