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働く女性 「100歳まで生きる朝食」を食べていない

日経ウーマンオンライン

2017/10/2

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1日を元気に始めるための朝ごはん。毎朝きちんと食べたくても、忙しい日や朝寝坊した日に、つい抜いていませんか? もしかしたら「ダイエットしているから」という人もいるかもしれません。でも、軽い気持ちで「朝ごはん抜き」を続けていると、私たちの体は悲鳴を上げてしまいます。食と健康に詳しい、予防医療コンサルタントの細川モモさんに、働く女性の朝食の実態と朝食の健康効果について伺いました。

※インタビューで出てくるデータは、Will Conscious Marunouchi実行委員会の調査によるものです(◎調査期間:2014年8月~2015年3月、◎調査対象:「まるのうち保健室」参加者1022人、◎サンプル数:20~30代の女性就業者749人)

■日本の女性は栄養・運動・睡眠が足りない三重苦

2014年から「まるのうち保健室」として、働く女性約2000人の生活習慣や健康状態を調べている細川モモさん。その結果を目の当たりにして、驚きと危機感を覚えたといいます。

「日本の女性は圧倒的に栄養・運動習慣・睡眠が足りないんです。2014年の調査では約4割の女性が朝ごはんを欠食していました。朝ごはんを抜くと、およそ1食分の400kcalが減るため、必然的に1日の摂取カロリーも下がります。20代女性の平均摂取エネルギーは1480kcal、30代は1479kcalまで落ち込んでいました」(細川さん)

欠食率(「毎日食べる」と回答しなかった人)
20代……36%

平均摂取エネルギー量
20代……1480kcal
30代……1479kcal

【参考】女性の必要摂取エネルギー量
20~30代……2000kcal

この1479kcalという数字は、糖尿病の治療食や70代の高齢者が食べている食事よりも低い摂取量。

細川さんは強調します。「働きざかりの20~30代の女性に必要なのは、1日1800~2000kcal。皆さん、もっと食べていいんです!」

■骨をつくる栄養素も血をつくる栄養素も足りていない

日々の食事の摂取量が少なければ、当然、体に必要な栄養素も不足します。「まるのうち保健室」の調査では、女性たちの多くはカルシウム、マグネシウム、鉄分、たんぱく質、葉酸、亜鉛などが大きく不足していました。

(1)骨をつくる栄養素

骨をつくる栄養素が足りていなかった女性が多数派でした。カルシウムが足りていない女性は91%、マグネシウムが足りていない女性は79%、たんぱく質が足りていない女性は89%――という結果となりました。

出典/Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」調査 Copyright 2015 三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリ All Rights Reserved.

(2)血液をつくる栄養素

血液をつくる栄養素が足りていない女性も非常に多い結果に。鉄分が足りていない女性は92%、葉酸が足りていない女性は61%、亜鉛が足りていない女性は77%。結果として、約4割の働く女性が、400ccの献血ができない貧血状態になっています。鉄分など血液をつくる栄養素を補給できるような朝食の内容に見直す必要がありますね。

出典/Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」調査 Copyright 2015 三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリ All Rights Reserved.

■働く女性ほど朝食の欠食率が高い

なぜ、朝食を抜く人が多いのでしょうか。細川さんは「就業時間が長い女性ほど、欠食率が高い傾向にあります」と説明します。

「就業時間が長い人ほど疲れていて、少しでも長く寝たいために朝ごはんを抜いてしまうんです」と細川さん。思い当たる人はいませんか?

「また、夜遅くに食事をして、朝はおなかが空いていない場合も。その結果、会社にいる間にお菓子ばかり食べてしまったり、昼と夜にドカ食いする『1日2食型』の食事をしたりする特徴が見られます」(細川さん)

就業時間と朝食の関係 出典/Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」調査 Copyright 2015 三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリ All Rights Reserved.

データを見ると、「朝食をほぼ毎日食べる」という回答者が就業時間によって変化が確認できます。就業時間が週40時間以下の女性で『毎日食べる」としたのは71%、週41~60時間の女性は62%、週61~100時間の女性は52%と、就業時間が長くなるほど、見事に欠食率が高まっています。「食べない」という回答者においても、就業時間が多いほど増える傾向です。

食事の回数が少ないのは要注意。「食事の回数が多いほど血糖値は安定するのですが、空腹時間が長く続いた後に食事をすると血糖値が急上昇します。そんな生活を続けていると、血糖値を一定に保つインスリンの分泌が乱れ、太りやすくなります。実際に朝ごはんを食べている人のほうがBMI(体格指数)が低いのは、さまざまな研究により裏付けられています。『ダイエットのために』朝ごはんを抜いているとしたら、逆効果なんですよ」(細川さん)

■朝食の欠食が続くと、将来寝たきりになるかも

また、一見、痩せている人でも内臓脂肪の多い「隠れ肥満」が多いのも日本の女性の特徴。カロリーが足りていないので見た目には太っていませんが、隠れ肥満・運動をしない・間食、飲酒をする(糖分の過剰摂取)という要因があるため、日本人女性の多くは「糖尿病予備軍」ともいえる状態にあります。

「デスクワークに運動不足が重なると、骨や筋肉、関節からなる移動機能が低下する『ロコモティブシンドローム(運動器症候群)』になる心配もあります。もともとロコモティブシンドロームのテストは寝たきりや要介護状態を予防するために高齢者に行うものでしたが、まるのうち保健室でも調査をしてみたところ、20~30代女性の約3割がロコモティブシンドロームであることが分かりました」(細川さん)

今は女性も長く働くことを前提にキャリアプラン・ライフプランを考える時代です。それなのに、定年まで一生懸命に働いた先に寝たきりの生活が待っているとしたら……悲しいですよね。

どうしたら防げるんでしょう?

「そう、だからこそ、朝ごはんをきちんと食べることが大事なんです!」と細川さんは力説します。

■朝食で「体温上昇」「貧血防止」

では、朝食を食べることによって、どんな効果があるのでしょうか。

「朝ごはんがもたらす健康効果はたくさんありますが、特に重要なのは『体温を上げること』と『貧血防止』です。日本人の平均体温は36.89度であるのに対し、20代女性の平均体温は36.1度。平均値未満が5割近くもいることが調査報告されています(※注1)。体温は寝ている間にさらに1度下がりますから、きちんと朝ごはんを食べ、消化によって熱を上げることが大事なんです。私たちの調査では、朝ごはんを食べている人ほど体脂肪が少なく、筋肉量や骨密度も多いことが分かっています」(細川さん)

もし、朝食を食べないとお昼前には体温が下がり、手足や体の冷えを感じてしまいます。体温は免疫作用にも関わるため、風邪やインフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなります。

「もう一つの『貧血防止』ですが、まるのうち保健室の調査では400ccの献血を断られるほどの貧血状態である人が約4割いました。その他の調査結果においても、20~40代の女性の約2人に1人が潜在的な貧血だという結果が出ています(※注2)」(細川さん)

注1:「女性の体温と恋愛に関する意識調査」マーシュより

注2:平成20年国民健康・栄養調査

■数値上では「常に貧血状態」の女性たち

貧血と聞くと何となく「立ちくらみ」の症状だけかと思いがちですが、立ちくらみや目まい以外にも冷え性、疲れやすい、顔色の悪さ、PMS(月経前症候群)の悪化、精神的なアップダウンが激しくなるなどの慢性的な症状を引き起こします。貧血予防のためには鉄分の摂取が必須ですが、それにも私たちは知識不足のところがあるようです。

「貧血症状のない鉄欠乏に該当する女性が約40%もいます。女性が1日に必要な鉄分量は10.5mg。ところが毎月の月経で損失する量は約22.5mg。さらに毎日、汗や尿から約1mgが排出されますから、月経が正常であれば『常に鉄分が足りない』と意識して、積極的に摂取することが大切です」(細川さん)

体内の鉄分は「ヘモグロビン」と「フェリチン」という異なる形態で存在しています。フェリチンは肝臓にためられている貯蔵鉄のこと。ヘモグロビンが足りなくなるとフェリチンから補われる仕組みになっているため、フェリチンは「銀行口座」、ヘモグロビンは「お財布の紙幣」に例えられます。

「血液検査でヘモグロビンの数値が低いときは、フェリチンの貯蔵鉄を使い果たしている可能性もあります。健康診断や血液検査では、両方の数値をチェックしておくといいですね」(細川さん)

■貧血予防には「ヘム鉄」を摂取する

貧血予防にやみくもに鉄分を摂取すればいい、というものでもありません。鉄分を摂取するときは動物性食品に含まれる「ヘム鉄」か、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」かにも気を配るのがポイントです。

吸収率はヘム鉄のほうが優れています。ですから、非ヘム鉄(ほうれん草、ひじき、切り干し大根など)を食べるよりも、ヘム鉄(牛肉、豚肉など赤身のお肉、マグロやカツオなど赤身の魚、あさりなどの貝類)を食べるほうが効果的です。食事で取るのが難しい場合は、ココアなどの飲み物や「Feプラス」と表示のある補助食品を選んでもいいでしょう。

赤身肉や赤身魚を食べて「ヘム鉄」を摂取しましょう (PIXTA)

また、食後の飲み物にも注意が必要です。非ヘム鉄はお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンによって吸収が妨げられるので、貧血気味の人は食後30分以内のコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶などは避けるようにしましょう。

*  *  *

「現在、特に不調がない人ほど、『自分は元気!』と過信してしまいがち。でも、朝食を抜くと肥満のリスクは高まります。日本女性を対象とした研究では、肥満が乳がんの発症リスクを確実に高めることが示されています。大きな病気をするとライフプラン・キャリアプランがそこでリセットされてしまい、多額の治療費がかかれば、マネープランにも影響します。朝ごはんは生涯にわたって自分を支えてくれるものですから、しっかり食べてくださいね!」(細川さん)

もしかしたら、朝食を食べている人も「カロリー摂取」や「義務」のために口にしていたかもしれません。でも、朝食は「健康に必要な栄養補給」と意識すると、さらに食べる意欲が湧いてきますね。

細川モモ
予防医療コンサルタント。アメリカで最新の栄養学を学び、International Nutrition Supplement Adviserの資格を取得。医師や栄養士による予防医療チーム「Luvtelli Tokyo&New York」主宰。2011~2015年にミス・ユニバース・ジャパン ビューティーキャンプ講師を務める。2014年からは三菱地所と共同で東京・丸の内に「まるのうち保健室」を立ち上げ、国内初となる「働き女子1000名白書」をまとめる。著書に「細川モモの美人食堂」(主婦の友社)、「『食事』を知っているだけで人生を大きく守れる」(ダイヤモンド社)など。

(ライター 三浦香代子)

グラフデータ出典/Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」

[nikkei WOMAN Online 2017年9月26日付記事を再構成]

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