白菜のキムチ 刺激的な辛さにご飯が進む

私はというと「初対面の人とでもこんなに話がはずむなんて、さすがご飯だなあ」と、ぼんやり考えていた。かつて私は他人と話を続けるのが苦手であった。その時に鉄板ネタとして使っていたのが「ご飯に一番あうものって何だと思いますか?」だったからだ。

日本にいて、ご飯を食べたことない人はまずいない。日常的にありふれているからこそ、誰もが一家言持つことができる。年代や出身地によって好むものが違い、また皆それぞれに譲れない熱い思いがある。

自分と同じものが好きと言われたら大いに賛同し、話がはずむ。自分が知らないものを出されたら「それはどういったものですか」と尋ね、これまた話がはずむ。どうしたって話がはずむのだ。本当に、ご飯にはずいぶん助けられてきた。

シビレのサンショウ、辛みのトウガラシなど刺激物もご飯によく合う

長崎生まれの私には、思い出深い光景がある。もう何十年も前、祖父母の金婚式を祝うため親戚一同が長崎の家に集まった時のことだ。人数が多いため交代で朝ご飯を食べたのだが、どのおじも、おばも、いとこたちも、みんな他のおかずには目もくれずめんたいこばかり食べているのだ。

東京から来たおじなどは「ご飯にはめんたいこたい。めんたいこさえあればモグモグ…」と自分に言い聞かせるかのようにブツブツつぶやきながらめんたいこを口に運んでいる。ああ、私のめんたいこ好きのルーツはここにあったのだ。この地に生まれたこの血がめんたいこを好むのだ、と合点がいった。DNAレベルで抗えない好物というものが、世の中にはあるのだ。

あれからご飯宴会は、人を変え、場所を変え、静かに続いている。Yくんに対抗すべく「うちの県の米も食べてくれ」「うちのじいちゃんの米だってなかなかだ」という人が続々と現れたこと「Y家のルールには合わなかったけど、ぜひ紹介したいお供がある」という人も続々と現れたからだ。

生姜焼き味の肉そぼろ これなら「ご飯のとも」

そして先日のご飯宴会では、かつて生姜焼きを持ってきた人が「生姜焼き味の肉そぼろ」を作って参戦し、Yくんに「これならどうだ」と突きつけた。

「これは…ご飯のお供ですね」

Yくんが一杯余分にお代わりしたのは言うまでもない。

(食ライター じろまるいずみ)

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