検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

GLIM SPANKY 歌詞の原点、父からの幻想的な絵本

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

2014年のデビュー以来、若いロックファンだけでなく、1960~70年代のロックファンからも熱烈な支持を集めるGLIM SPANKY。ジャニス・ジョプリンを想起させるハスキーでパワフルな松尾レミさんのボーカルと、テクニカルかつエモーショナルなギタープレーが光る亀本寛貴さんからなる2人組のユニットだ。自然体の亀本さんと年下ながらしっかり者の松尾さんは、高校時代の先輩後輩で息のあったコンビネーションも絶妙。それぞれが選んでくれた「もの」からも、2人のキャラクターが透けて見える。

父親から譲り受けた不思議な「絵本」

松尾さんが紹介してくれたのは、物心がつく前からそばにあり、17年9月に発売した新譜「BIZARRE CARNIVAL」の世界観にも影響しているという絵本「変なお茶会」(佐々木マキ・著)。40年近く愛され 続けているロングセラーの絵本には、父との深い絆が感じられる逸話が隠されていた。

松尾 「この絵本は私が生まれる前に父が購入したもので、多分初版本(1979年)ではないかと思います。物心つく前から父が読み聞かせてくれていました。このなんとも不可思議な世界観が大好きです。ある日、オオイワという人にお茶会への招待状が届くところから始まります。名前からして日本人だと思うんですが、挿絵は全然それっぽくない。それがまずいいですよね。版画みたいな印刷のタッチや鮮やかな色使いもすごく好きです。

オオイワさんは電気自転車で出かけ、いろんな国から招待されてお茶会に集まる人たちはゾウや飛行機などいろんな乗り物に乗って集まります。その道のりを描いている絵も異国情緒に溢れていてとても気に入っています。三日月も人の顔みたいに擬人化されている。どこの世界か分からない……。そんな不思議な世界の一つひとつが大好きです。私のものづくり、作詞にも影響している原点のような絵本ですね。

佐々木マキさんの他に、荒井良二さんやスズキコージさんの絵本も好きでよく読んでいました。それらに通じるのは70年代独特の雰囲気。雑誌『ガロ』を愛読していてロックや文学、アートなど、その時代のカルチャーが好きな父が、その魅力を私にも伝えようとしてくれたのかなと。表現者としての私のルーツですね」

幻想的な世界、新譜の歌詞に色濃く反映

折に触れ、父親が幻想的な世界への扉を開けてくれたと語る松尾さん。高校時代には、抽象思考や飛行願望、天体などを取り入れた独自の作風で熱狂的な読者も多い作家の稲垣足穂の作品を薦められたという。

松尾 「高校生で稲垣足穂にはまりましたが、そのきっかけも父でした。学校から帰ると机の上に本とメモがあり、『レミはきっと気に入ると思うから読んでみなさい』と。引きこまれましたね。絵本で見た月の世界に通じるものがあって、衝撃を受けました。そこから、幻想文学やシュールレアリスムにはまっていくようになりました。もしかしたら、父の好きな世界にはめる計画に、まんまと乗せられていたのかもしれません(笑)。

新しいアルバムではこれまで以上に自由に作詞できましたが、それは『変なお茶会』などの絵本に影響を受けた私の原点に通じる世界観でもあります。これまでは、どうしたらたくさんの人に届けられるかを考えながら、その方法を身につけるために必要な経験を積む時間でした。今作ではそれを踏まえつつルーツに立ち返ることができた。ファンタジーや想像力をより羽ばたかせてリラックスしながら、(聴き手に)響く歌詞になっていると思います。ですからアルバムを作り上げたとき、『素っ裸になったな』と感じましたね。

そもそも、BIZARREという言葉は、『まか不思議、奇妙な』という意味。タイトル曲『BIZARRE CARNIVAL』には、見世物小屋のような空気が流れています。不思議でごちゃごちゃした世界が大好きだし、私たちがやっているロックもそう。奇妙なカーニバルのようなロックがやってくるよという意味も込めました。長年ロックを聴いてきたファンが聴けばきっとニヤニヤしてもらえるだろうし、同世代の人はもしかしたらソフトになったと感じるかもしれない。若い世代でロックを知らない人たちにラウド一辺倒じゃないロックを提示したいし、それがどう響くのかも興味がありますね」

ボウイを再現、使いづらいけど音がいい

一方、亀本さんが紹介してくれたのはアルバムでも使ったというお気に入りのエレキギター用ペダル「Manlay Sound M-200」だ。

亀本 「『Manlay Sound M-200』を手に入れたのは確か今年の6月くらいです。アルバム『BIZARRE CARNIVAL』のレコーディングでお世話になったローディー(楽器周りのサポート をする人)さんが教えてくれたんですが、その人はデビッド・ボウイのファン。特に、ミック・ロンソンがギタリストをしていたころが好きで、その時代の音を再現する機材をたくさん持っているんです。

ミック・ロンソンが愛用していた伝説のアンプに『マーシャル・メジャー』というのがあって、ロンソンは愛情込めて『The Pig』って呼んでいたそうです。ただ、それはすごくレアで市場にほとんど出回らない。もし出たとしても数百万もの値段が付く超お宝なんです。

レコーディングで、その音に近づけたというアンプを使ったんですが、その音が気に入って、そのローディーさんに「手に入れられませんか」と相談しました。でも、それを日本で入手するのは困難だと分かり、他のメーカー品がないかと探していたときに見つけたのが『Manlay Sound M-200』です」

機材の話となると瞳を輝かせる亀本さん。まるでお気に入りのおもちゃを手に入れた少年のような純粋さで熱弁をふるってくれた。

亀本 「すぐ御茶ノ水の楽器店街に行きました。試奏して音を確かめたいですからね。僕はオリジナルの『The Pig』を実際に聴いたことがないから比較できないけど、『Manlay Sound M-200』の音はすごく気に入っています。スペインのメーカーで、デビッド・ボウイマニアの職人さんがほぼ1人で手作りしているような製品です。

欠点は、使い勝手の悪さ(笑)。つまみで細かな調整ができない。普通は歪みのつまみを上げれば、歪みだけを強くできます。3つのつまみがあれば、音のトーンやボリュームなどそれぞれ調整できるのが一般的です。なのに、このペダルは3つのつまみ全部が歪み(笑)。3つのつまみをいじることで、低音や高音域、全体などの多彩な歪みを調整できるのはいいけど、音の大小が変えられないし、細かな調整ができないから扱いが難しい」

松尾 「それは確かに使いづらそう(笑)」

亀本 「だけど、音がいい。『The Pig』は知らなくても、他のマーシャルのアンプはたくさん使っているので、これがマーシャルっぽい音なのは分かります。アルバムでは、最後の方に録音した『白昼夢』という曲でスタジオに持って行きましたが、マーシャル風の歪みが必要ない曲なので使えませんでした(笑)」

松尾 「『ビートニクス』はどう?」

亀本 「あ! その曲では使っています。ぜひ、歪みにも注目して聴いてほしいですね。この夏からずっと気に入ってフェスなどでも使っています。頻繁に使っているせいか、ちょっとガタがきてて……」

松尾 「(触ってみて)うん、これはやばいかも(笑)」

GLIM SPANKY
 オーセンティックなロックを継承しつつ21世紀的な感覚も持ち合わせる男女ロックユニット。メンバーは松尾レミ(1991年生まれ ボーカル/ギター)と亀本寛貴(1990年生まれ ギター)で、ともに長野県出身。2014年にミニアルバム「焦燥」でデビュー。映画「ONE PIECE FILM GOLD」の主題歌「怒りをくれよ」を収録する2ndアルバム「Next One」(16年)はiTunesロックアルバムチャートで1位に。2017年10月14日からはニューアルバム「BIZARRE CARNIVAL」を携えた全国19か所を回るツアーが開幕。2018年には香港と台湾でのワンマンライブも決まっている。

(文 橘川有子、写真 吉村永)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_