吉田羊と渡辺えり 花王ハミングのコミカルCM最高位
2017年8月度 CM好感度月間ランキング
CM総合研究所が発表する8月度の銘柄別CM好感度ランキングで、花王の柔軟剤「ハミングファイン」が8位にランクインした。吉田羊と渡辺えりを対比させて描いたコミカルなタッチが、幅広い年齢の主婦層から好評。汗のにおいやべたつきを防ぐという商品特性の訴求とタレント共演のユーモア効果で、同銘柄として最高の順位を記録した。
8月度のハミングファインのCMは吉田が出演する2作品が流れた。票を集めたのは「隣の奥さん 庭先」篇。お隣同士の奥さんを吉田と渡辺が演じる。汗をかいてもいつもさわやかな吉田。しかもスローモーションでキラキラと輝いている。その姿を庭からのぞき見る渡辺の背中は、服に汗がにじんでいる。そんな映像に渡辺の「どうしていつもさわやかなの? どうしていつもスローモーションなの? 教えてほしい」と言う声がかぶり、「教えてあげたい」と吉田の声が聞こえてくる。
調査に答えたモニターの感想は、「さわやかな吉田羊を、こっそりのぞき見する渡辺えりが面白い」「渡辺えりは汗いっぱいなのに、吉田羊のさわやかさが役にあっている」など、2人の対比をコミカルに描いた点が面白がられている。これまでのシリーズでは吉田と田中直樹が夫婦役を演じる4人家族が登場していたが、今作から渡辺が加わった。吉田と渡辺の共演効果が、さっそく好感度に反映した形だ。
花王のファブリック&ホームケア事業ユニット ファブリックケア事業グループの羽部俊之氏は、2人の起用理由をこう語る。「吉田さんは、さわやかでスタイリッシュな現代の女性像、母親像として2014年から出演いただいています。今作ではユーモアある表情と絶妙な演技で、これまでにはないチャーミングなキャラクターとなりました。渡辺さんは、その愛すべきキャラクターが適任でした。オーバーなアクションは渡辺さんならでは。あえて昼ドラのような関係性をコミカルに描きました」
花王の商品CMで2度目のトップ10入り
CM総合研究所の関根心太郎代表は「とても上手にできたCMです」と称賛。「汗の防臭効果や吸収力のアップという商品利点がはっきりしていると、企業側としては細かく説明したくなります。でも、その商品訴求の部分は、吉田さんのシャツから汗がぽーんと後ろに抜ける、面白い映像一発で視覚的に見せました。そしてタレントの部分は、吉田さんと渡辺さんのキャラクターを対比させて、ユーモラスに伝えることに成功しています」
支持層は女性、特に幅広い年齢の主婦層からの好感度が高い。好感要因は、票数では「出演者・キャラクター」「ユーモラス」の順だが、全銘柄における相対的な順位として高いのは「宣伝文句」「説得力に共感した」「企業姿勢にウソがない」。商品に対する購買意向度も、女性層では約90%とかなり高い。
「花王さんの商品CMは、今までも『宣伝文句』『商品にひかれた』『説得力に共感』といった好感要因を外さない傾向が強く、商品訴求に優れていました。今回のハミングファインは、それにプラスして『ユーモラス』『ストーリー展開』『ダサイけど憎めない』といったエモーショナルな要素が加わったのが特徴です。タレント起用の妙といえるでしょう」(関根氏)
花王の商品CMが総合トップ10に入るのは、今回が2度目。2016年8月度に「アタックNeo」が7位に入ったのに次ぐ順位だ。得意とする商品特性の視覚表現と、タレント共演のユーモア効果が相まって、新たなヒットCMが生まれたようだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
■当月オンエアCM:全2648銘柄
■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター3000人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの
■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品
■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある
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