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リーダーが語る 仕事の装い

和服で無限の自己表現! 将棋「貴族」が選んだ勝負服 将棋棋士 佐藤天彦名人(下)

2017/10/8

王座戦で羽生善治氏に挑む佐藤天彦氏(右)=2015年9月

 世代交代の大きなうねりが起こっている将棋界。約4半世紀にわたりタイトルをほぼ独占してきた羽生善治王座の世代が後退し、20歳代のタイトルホルダーが相次ぐ。その中心をなす1人が佐藤天彦名人(29)だ。装いに強いこだわりを持ち、「貴族」とも称される佐藤名人は、スーツだけでなく和服にも一家言を持つ。前回掲載「対局中にファッション思案! 佐藤名人のこだわり」に続き、和装について聞いた




 ――将棋のタイトル戦ではタイトルホルダーも挑戦者も羽織、袴(はかま)で対局します。例外は6月に現役を退いた加藤一二三・九段ですが、それでも30歳代半ばまでは和服で名人戦、十段戦に臨んでいました。佐藤名人は和服をどうのように着ていますか。

羽織袴で王座戦に臨んだ佐藤名人(2015年9月)

 「長い伝統を持つ和服には、一般になじみの無い決まり事や制約に縛られていると錯覚しがちですが、実は着る者にとって自由度が非常に高い服装です。小物を含め色や組み合わせで、さまざまな自己表現が可能だとみています」

 「薄緑色の羽織を作ったこともあります。『ビジネススーツではまず無理な色合いだな』と思いながら楽しんで袖を通しました」

 「スーツの上着は無地を軸にして色やデザインのバリエーションはそれほど多くない。和服の方が断然選択肢が多い。伝統の中でさまざまな配色が試され、革新を続けてきたのでしょう。その中から自分らしい組み合わせを見つけることができると思います」

■羽生氏に挑戦、初めて和服を着る

 「私は2015年の王座戦で羽生王座に挑戦するまで、和服を着たことがありませんでした。棋士の多くがお世話になっている白瀧呉服店(東京・練馬)でお願いすることに決め、和服関連の書籍を読んでおいて一応の知識は得ていたものの、実際に家族とお店にうかがった時は最初の羽織1着を選ぶのに2時間かかりました(笑)」

 「王座戦は9月初旬からから5番勝負が始まります。和服の王道である『お召し』(先染めの糸を用いた平織りの織物で縮緬=ちりめん=の一種)などで裏地の無い夏用を2セット、裏地のある秋冬用を1枚仕立ててもらいました。冬の棋王戦、翌春の名人戦とタイトル戦ごとに増やしていき、今は10セット近く持っています」

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