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借金800万円、自宅は残せる? 個人民事再生を試す 弁護士 志賀剛一

2017/9/28

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Case:18 38歳のサラリーマンのAと申します。飲食の付き合いなどがもとで消費者金融や銀行のカードローンに約800万円の借金をつくってしまい、月々の返済も滞りがちになっています。数年前にはマンションを購入しており、住宅ローンの返済が月々8万円ぐらいあります。知人に相談したところ、「自己破産してすっきりしてしまえ」と言われたのですが、そうなるといろいろな制限があるし、自宅のマンションは手放さなければならないと聞きました。虫のいい話ですが、自宅を残しつつ債務を整理する方法はないでしょうか。

■債務整理の方法は4種類

借りたお金は約束した時期に全額返済するのが大原則です。しかし、いろいろな事情で返せなくなる場合もあります。借金が増えて返済が行き詰まってくると、だんだん金利の高い金融に手を出すようになり、借りられなくなると親族や友人からお金を借りたり、さらには違法なヤミ金にまで手を出したりして、返済どころか生活すらままならなくなってしまいます。無計画な借金による多重債務は本人の責任が大きい場合が多いのですが、それを責めても始まりません。適切な法制度を利用して、人生の再起を図ることが肝要です。その場合に負債を減額したり消滅させたりする方法を「債務整理」と総称しています。

個人の債務整理の方法には大別して(1)任意整理(2)破産(3)個人民事再生(4)特定調停の4つがあります。(1)の任意整理は、文字どおり法的な手続きによらずに債権者と交渉して債権の減額を求める方法です。しかし、債権者がこれに応じなければ強制力はありませんので、債権者が複数いるような場合にはあまり適切な方法ではありません。簡易裁判所が債務者と債権者の話し合いを仲裁し、返済条件の軽減などの合意が成立するよう働きかける(4)の特定調停も今はあまり用いられていません。債務整理の手段として多く利用されるのはやはり(2)の自己破産か(3)の個人民事再生手続きです。

ここで重要なのは、どの方法が適切かを専門家、つまり弁護士にきちんと相談することです。最近、ネットを見ると「○○コンサルタント」だとか「××相談室」といったような名称で「債務整理はお任せ」などと書いてあるサイトがありますが、弁護士法に抵触している疑いがあるばかりか、債務が減るどころか高額な報酬を請求されるといった「二次災害」が発生するおそれもあります。また、「弁護士」と名前がついていても、実際には事務員に任せっぱなしの事務所や、「過払い金請求がない債務整理はやりません」などという不届きな事務所もありますので要注意です。

■自己破産のメリットとデメリット

自己破産は裁判所により借金や負債の返済義務を免除してもらう手続きです。しかし、破産申し立て後、破産手続きが開始されるだけでは、借金が免除になるわけではありません。「免責」の許可が下りることではじめて債務が免除されます。現在の破産法では、破産手続き開始の申し立てと同時に免責許可の申し立てをすることができます。免責許可が決定した後は基本的に一切の債務がなくなるので、返済の必要はまったくありません(ただし、滞納している税金などは免責にはなりません)。また、一昔前にいわれていた「破産すると選挙権がなくなる」「戸籍に載る」などの風聞はまったくの誤解であり、日常生活上それほど大きなデメリットはないともいえます。

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