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優雅にストレスオフ アフタヌーンティーのマナー

2017/9/27

PIXTA

 忙しくてストレスがたまったとき、気の合う人とお茶をしながらのおしゃべりは最高の気分転換法のひとつです。英国のアフタヌーンティーも、ストレスを抱えた貴族の女性が始めた、いわば元祖・女子会。最近では商談や仕事の打ち合わせを兼ねた、パワーランチならぬ「パワーアフタヌーンティー」もあるとか。マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに、優雅さを磨くアフタヌーンティーのマナーをお聞きしました。

■貴族の女性が始めた、女性たちの喫茶習慣

 秋篠宮家の長女、眞子さまのご婚約が発表されて、あらためてプリンセスの優雅な立ち居振る舞いや言葉遣いが注目されました。優雅さとは、相手への配慮や思いやり、そして自らのゆとりから生まれるもの。ふだん忙しく過ごしている人ほど、優雅さを意識した時間を持つことで心の状態がポジティブになり、リラックスできると思います。

 英国の伝統的なアフタヌーンティーは、もともとは貴族の女性たちが午後の時間に、サンドイッチとスコーン、スイーツ、紅茶を味わいながらコミュニケーションをとる社交の場でした。社交の場で求められる大切な要素は、まずはマナーです。マナーが身についていない人は、そもそも、こうしたティーパーティーにご招待いただけません。会を主宰する方からお声がけいただけることは、大変名誉なことでもあるわけです。良い表情や、感謝を伝えるごあいさつは基本中の基本ですね。

 英国などでは最近、親しい人同士だけではなく、商談や打ち合わせをしながらアフタヌーンティーをとるケースもあるそうです。お昼の時間帯のパワーランチでは、お店が混みがちで周囲がせわしないという事情もあるでしょう。日本では、接待や会食といえば夜の時間帯が多かったですが、「働き方改革」を進めていく上では、アフタヌーンティーを仕事目的で利用するのもいいかもしれませんね。

 アフタヌーンティーは19世紀前半の英国で、第7代ベッドフォード公爵夫人であるアンナ・マリア・ラッセルという女性が始めたといわれます。当時の食事は朝食と、夜8時や9時からの夕食の1日2回。午後にはおなかがすいてしまうため、親しい女性たちを招いてお茶会をするようになったのが始まりで、そこにサンドイッチを付けたところ、これまた皆さんに好評で、それが現在のアフタヌーンティーの始まりといわれています。

 当時、貴族の男性たちはコーヒーハウスに行って喫茶する習慣があり、後にこれが紳士クラブに発展しました。一方、貴族の女性たちは自邸内で、女性同士でお茶会をしていたのですね。現代でいえば女子会ともいえるでしょう。また当時、砂糖は大変貴重で高価なものでした。その砂糖を紅茶に入れて飲むということも、ここから始まったといわれています。ストレスを感じると、甘いものが欲しくなりますから、当時の女性たちも優雅なお茶会で、ストレスを解消していたのかもしれませんね。

■ホテルでのアフタヌーンティーで注意すべきことは

 アフタヌーンティーといえば3段のスタンド(スリーティアーズ)になっているお皿を連想する方も多いと思いますが、実はこのスタイルは略式なのです。元来は、ご自宅に招いてもてなすもの。大きなお皿に人数より多い数のフードをのせて、お一人お一人に「どうぞ」といってご提供し、大皿から自身でフードを取るのが正式なスタイルです。しかし、それでは皆さんにいきわたるのに時間がかかったり、運ぶ人が大変であったり、テーブルの上にお皿を置くスペースがなくなったりなどの問題点を解消するために、2段(ダブルティアーズ)や3段のスタンドスタイルとなりました。

 ホテルでのアフタヌーンティーはスタンドのスタイルですね。では、私たちがホテルでアフタヌーンティーをいただく際に気をつけておくとよいマナーをお伝えいたしましょう。

 まず服装は、低いソファーに座ることもあるので、ひざが出ない長さのスカートがよいでしょう。長めのスカートはエレガントにも映ります。

 フードはサンドイッチ、スコーン、ケーキなどのスイーツが出されます。3段のプレートスタンドで一度に出されることもありますが、先述のとおり、正式にはフードの種類ごとに運ばれてきて、各自がそこから順に取るスタイルです。自分の順番が回ってきたら無言で取るのではなく隣の人に「お先に失礼いたします」、自分が言われたときは「どうぞ」とひと言を伝えるコミュニケーションをとることが大切です。このようなひと言は、職場やプライベートの人間関係でも同様ですね。このひと言があるとないとでは、印象やその後の関係にも影響するかもしれません。

 食べる順番はサンドイッチ、スコーン、スイーツのように、軽食から甘いものへの順となります。

 サンドイッチやスコーンは片手で持って食べます。スコーンは真ん中から上下に手で2つに割ります。それ以上は小さく割らずに、一口ずつ食べます。バターやジャムは一口分ずつスコーンにつけながら食べます。

 スコーンにはクロテッドクリームがつくこともありますが、クロテッドクリームとスコーン、紅茶の組み合わせは英国ではクリームティーと呼び、伝統的なアフタヌーンティーとは区別されています。

 紅茶の種類はフードによって変えるとよいでしょう。例えば、世界三大銘茶のひとつと称される「キーマン」のような黒色のお茶(ブラックティー)は、キュウリのサンドウィッチに合う、といわれています。

 もう一つ大事なマナーとして、愚痴や他人の悪口などは厳禁です。このようなティーパーティーは会話が主役。作法(マナーの型・形)よりも、相手を思いやる心、相手を楽しませるというおもてなしの精神からなるコミュニケーション力のある人が評価されます。

 また、話し方を少しゆっくりめにすると優雅なイメージにもなり、自分自身の気持ちにも不思議と余裕がでてきます。私自身、日ごろ「Time is money」と、1分1秒も無駄にしないようにという思考から、つい話すときも早口になりがちでイライラすることもあったのですが、アフタヌーンティーのマナーレッスンをきっかけにゆっくり話すことを意識して実践してみると、不思議と気持ちに余裕が生まれ、イライラすることが少なくなったように思えます。ぜひ試してみてください。

 歴史や紅茶のことなど、アフタヌーンティーにはさらに深い内容がありますが、今回はホテルでアフタヌーンティーをいただくときに最低限知っておかれるとよいマナーをお伝えしました。

 アフタヌーンティーはすてきな空間ですてきな方々とおいしい紅茶やスコーンなどをいただきながら、優雅な気持ちになり、自然に相手を思いやる気持ちが育まれ、自身の気持ちにも余裕が生まれる効果があります。皆さまがストレスなく心地よい日々をお過ごしになることを願っております。

西出ひろ子
 マナーコンサルタント・美道家。英国の民間企業WitH Ltd.ウイズ・リミテッド日本支社代表を務めたのち、ヒロコマナーグループの代表として、ウイズ株式会社、HIROKO ROSE株式会社、一般社団法人マナー教育推進協会を設立。企業などでの研修・コンサルティング、マナーを軸に健康、美容、ファッションなどトータルな人材育成、人材プロデュースを行う。洋食・和食・アフタヌーンティーのマナー講座なども実施。著書は70冊以上、最新刊に「かつてない結果を導く超『接待』術」(青春出版社)。

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