2020年度に迫る入試改革 「英語難民」を脱するワザ東進ハイスクール英語講師の安河内哲也氏に聞く

日本の一般企業でも海外企業とのM&A(合併・買収)や提携が増え、外国籍の社員も確実に増加している。日産自動車のように「役員の半分近くが外国籍。英語文化にもう慣れた」(同社幹部)という会社もあれば、関西系の老舗製薬大手、武田薬品工業の幹部のように「経営幹部は外国人ばかり。メールは読み書きできるが、英語でうまく報告するのは大変。おかげで会議が短くなったけど」とこぼす人も。このままでは若年層と中高年層の間に圧倒的な英語格差がつきそうだ。

20分でスピーキング力を評価

対処法はないのか。安河内氏は「子供と一緒に学ぶ気持ちが大事だ。文法力なんて中学英語+αで十分。安いオンライン英会話を活用しながら、その都度スピーキングテストを組み合わせる学習が有効だ」。たとえば、国際的な英語テスト「Versant(ヴァーサント)」では、スマホやパソコンなどを利用すれば、20分弱のテストで即座に評価され、結果が出るという。

カリスマ英語講師と呼ばれる安河内哲也氏

そうは言っても、英会話に強い苦手意識を持つ人は少なくない。日本人の場合はLとRの発音がうまくできず、初めからつまずく人もいる。「多少間違っても、大きな声でゆっくり話せば相手は理解してくれることも多い。発音はスペリングをイメージしながら、Lの時はベロを上の歯の裏につけて、Rの時は舌先をどこにもつけずに発音するように意識すればいい」という。

年配の日本人の英語嫌いの原点は「英文法」にあると指摘する声もある。現在形、過去形、現在分詞、過去分詞、そこは「三単現のs」、関係代名詞……。受験英語では、英文法の正確性を問われる問題が多い。

文法にこだわるあまり、しゃべり下手になりがちだが、安河内氏は「英語の入試改革で4つの技能を試されるようになり、マニアックな英文法を問われる比重がグッと低くなる」という。文法力や翻訳が要だった受験英語は否定される。

文法を気にせず、最初はデタラメ英語でも

安河内氏は「最初はデタラメでもいいから速くたくさん話すことを重視するのが大事。たくさん話せるようになってくると、自ずと正確さを高めようという意識が生まれる。最初から正確さを求めると、それがメンタルバリアとなり、話せなくなってしまう」と強調する。20年は東京五輪の年でもあり、多くの外国人観光客の訪日が見込まれる。「英語難民」と嘆いている時間はもうない。

安河内哲也
1967年福岡県生まれ。1990年上智大学外国学部卒。東進ハイスクール・東進衛星予備校英語科講師、実用英語推進機構代表理事。文部科学省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」委員など歴任。

(代慶達也)

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