マヤのピラミッドに科学のメス、隠し部屋の謎を解明へ

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/9/30

メキシコ南部の森の中には3000個ほどのセノーテが隠れていると考えられている。古代マヤ文明の手がかりが含まれているものも多い。厚い葉を貫通するために、レーザーで検出や測距を行うLIDAR(ライダー)装置や温度センサーをドローンに取り付け、セノーテを探そうという計画もある。

水中に隠された洞窟を探すため、ソナーを搭載したカヤックをセノーテに降ろす。(PHOTOGRAPH BY CHRIS MILLBERN)

さらに、カヤックにソナーを積んでセノーテを探査し、地下水面が低いときに中に入れそうな洞窟や地下通路の入口を探す予定もある。遺跡の下の水の動きを記した地図ができれば、地下水路網を特定できるかもしれない。こういった地下水路網は、マヤの口伝には出てくるものの、その存在はまだ確認されてはいない。

レーザースキャンと写真測量を活用すれば、3次元でピラミッドや洞窟の内部をきわめて正確かつ詳細に表現できるはずだ。

「最終的には、こういったイメージングツールから得たデータを組み合わせて、ミリ単位の『特製3Dマップ』を作れるはずです。地上も地下も含めた遺跡全体のものをね」。このデジタル保存プロジェクトを率いるエンジニアで、ナショナル ジオグラフィックのフェローでもあるコーリー・ジャスコルスキ氏はそう話す。

エル・カスティージョの内部。レーザースキャナーの光線が「チャクモール」と呼ばれる像を詳細に記録する。この石像は玉座の間と呼ばれる部屋を守るためのものかもしれない。(PHOTOGRAPH BY CHRIS MILLBERN)

デ・アンダ氏は、それによって当時の文化や気候条件を詳しく把握できるようになると考える。南北アメリカでも特に重要な遺跡だと考えられているチチェンイツァのことを深く理解することにもつながるはずだ。

ソナーによるスキャンが始まった最初の週には、いくつかの洞窟が見つかった。そのうち2つは水没していたが、水没していない洞窟の1つからは、石に刻まれた女性の小像が見つかった。また、ピラミッドの寺院室のGPRスキャン調査では、壁の向こう側や、有名な赤いジャガーの玉座の床下からも、「たくさんの異常」(ジャスコルスキ氏)が初期段階で見つかっている。

エル・カスティージョでも特に有名な赤いジャガーの玉座をスキャンする様子。(PHOTOGRAPH BY CHRIS MILLBERN)

ジャスコルスキ氏は、「その意味を解明するには、データ処理の結果を待たなければなりません」と話す。「しかし、この手法によってピラミッドの構造を確実に把握できるようになります。壁の中に隠されているものがあれば、それも見つけられるでしょう」

このプロジェクトは、ナショナル ジオグラフィック協会の助成金を受けており、メキシコ国立人類学歴史研究所が統括している。

1秒間に2万回の計測を行うレーザースキャナーがデータを収集する。これによって、エル・カスティージョの精細なデジタルモデルを作ることができる。(PHOTOGRAPH BY CHRIS MILLBERN)

(文 Tom Clynes、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年9月20日付]

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