「職場の対人関係でのストレス」は、上司や同僚、クライアントとの人間関係のストレスです。パワハラやセクハラ、職場のいじめなどに悩む人が少なくありません。人間関係ストレスは継続すると高確率でメンタル不調の原因となります。

「職場環境によるストレス」は「暑さ、寒さ」「騒音」「振動」「清潔さ」「長時間通勤」などの職場環境に関連するストレス因子です。こうした環境要因も限界を超えると身体的不調・メンタル不調のどちらの原因にもなり得ます。

「あなたの技能の活用度」「あなたが感じている仕事の適性度」「働きがい」などは、仕事に対する「向き・不向き」や「やりがい」に関するストレスが評価されています。筆者の印象では、20代、30代の若い人ほど「自分に向いている仕事かどうか」「今の仕事がキャリア成長につながっているかどうか」で悩む傾向があります。

現状が把握できたら、次は対策

このチャートを項目別にじっくり眺めながら、自分の状況を具体的に思い浮かべ、ストレス対策を検討してみましょう。例えば……

「私は仕事の内容には満足しているが、量が多過ぎることや、コントロール度が低いことにはストレスを感じているんだな。そういえば最近クライアントから時間外の突発的な依頼事項が多くなって、残業も増えているし仕事のスケジュール管理が乱れている。一度上司に相談してクライアントに申し入れてもらおうかな」

「仕事の量、コントロール度はいいけど、仕事の質、人間関係ストレスが高めで、適性度のストレスが高い。今回のプロジェクトのリーダーに起用されたのはいいけど、部下とのコミュニケーションがうまくいっていないし、リーダーとしての管理職的な仕事が負担になっているせいだ。経験のある先輩にリーダーとしてどんなふうに動いたらよいのか具体的なアドバイスを聞いてみよう」

……といった感じです。

ちなみに筆者の場合は、「心理的な仕事の質の負担」「心理的な仕事の量の負担」が相対的に高めです。医師業は常に一人で判断を下し高度な責任を伴う医療行為をしなければならないので、仕方がないことですし、仕事量もすぐに減らすことはできません。しかしそれを自覚できているのと無自覚なのとではストレスのコントロール度が異なってきます。

例えば「自分が緊張度の高い仕事をしていて心理的な負担がかかっている」と自覚できている場合は、プライベートにはできるだけリラックスするよう心掛けたり、仕事以外での責任や緊張を要する活動を入れないように調整することができます。逆に無自覚な場合は、プライベートでもコミュニティやPTAの役職を引き受けてしまったりして、心理的な緊張や責任を上乗せしてしまう可能性があります。実際、プライベートで子どものサッカーチームのコーチという余計な責任を背負い込んだために、うつ病になってしまった管理職の男性にも出会ったことがあります。

以上のように、まず1番目のチャート「ストレスの原因因子」では、自分が仕事のどういった面にストレスを高く感じているかに、気づくことが大切です。次回は「ストレスによる心身反応」「ストレス反応への影響因子」について解説したいと思います。

お楽しみに。

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奥田弘美
 精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家。1992年山口大学医学部卒。精神科臨床および都内20カ所の産業医として日々多くの働く人のメンタルケア・ヘルスケアに関わる。執筆活動にも力を入れており「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネジメントセンター)、「何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから」(扶桑社)など著書多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げマインドフルネス瞑想の普及も行う。

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