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2代目N-BOX やり過ぎ新型に秘めた勝利の方程式

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NIKKEI STYLE

6年前に登場し、いきなりスズキ、ダイハツを抜いてホンダ初の軽自動車販売年間1位にになった奇跡のスーパーハイトワゴン「N-BOX」。先日フルモデルチェンジしたところ、スタイルはさほど変わらないのにいきなり受注3万台! ホンダが見つけた新しい成功の方程式とはなにか? 開発リーダーの白土清成LPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)を小沢コージが直撃する。

初代は異例の成功、それだけに力が入った

小沢コージ(以下、小沢) 2代目N-BOX、どうやらずいぶん評判が良いようで。

白土清成LPL(以下、白土) おかげさまで7月に受注を開始して9月3日の時点で3万台突破。スタートダッシュに成功しました。

小沢 ポイントはやっぱり前代未聞のホンダフルスイング打法でしょうか? プレゼンを聞いて驚きましたが、2代目N-BOX、スタイルは一見変わらないのに実態は全取っ替え。エクステリア、インテリアデザインはもちろん、お金のかかるプラットホームからエンジンまで完全新作。2代目でここまで変えた軽自動車って聞いたことがありません。前のパーツはどれくらい残っているんですか。

白土 ほとんど残ってないです。流用率で言うと10%ぐらい。標準部品のボルトナットやブラケットくらいでしょう。

小沢 ホンダは今まで軽でそんなことやってましたっけ?

白土 初めてです。

小沢 普通はモデルで2ジェネレーションごとに1プラットフォームですよね。

白土 軽に限らず、普通はそうです。

小沢 なぜここまでこだわったのでしょう。

白土 まずは想像を上回る初代への高い評価です。初代は初代で当時としては画期的な高効率プラットフォームを開発し、ある程度は売れるだろうと考えていましたが、予想をはるかに超えていまして。一時は普通車も含めてナンバーワンになりましたから。

小沢 まさしく一人勝ちで、いよいよ負けられない戦いになったと。

白土 発売翌年の2012年度に軽販売台数で一番になって、その後ダイハツ「タント」のフルモデルチェンジのときに一度だけ抜かれましたが、その後また盛り返して、今年の上半期もトップでした。

小沢 6年間ずっと売れ続けていて、販売累計100万台に達したのも、国内のホンダ車としては最速なんですってね。「シビック」や「フィット」よりも速い。

白土 それもあって早い段階でイチから作り直さなければいけないだろうと。

大切だったのは純粋にお客様目線

小沢 一方、振り返って見るとホンダの軽は長い失敗の歴史というか、個性的モデルを出しては「一部受け」で終わってしまってなかなかスズキ、ダイハツを超えられませんでした。思い返せば「ライフ」「Z」「That's」とみんな「独自性」「ホンダらしさ」に引っ張られていたというか。

白土 おっしゃる通りです(笑)。

小沢 そこに今回のN-BOXの成功です。理由はなんでしょうか? プレッシャーもあったんじゃないでしょうか。

白土 もちろんです。フルモデルチェンジしたのに台数が下がってしまったらシャレになりませんし、そのためにはデザインを変えるだけではダメだと。デザインは好き嫌いがあるし、それを上回る価値がない限り新しいお客様は増えないと思ったんです。

小沢 確かに。今までの魅力を守りつつ進化するには全取っ替えしかなかったと。そもそも初代N-BOXの勝因はなんだったのでしょう。

白土 ありきたりの答えになってしまいますが、純粋にお客様目線でつくったからだと思います。それまでの軽は既存の技術資源を効率良く使い、安さ優先のクルマづくりをしていましたが、一転してN-BOXは「お客様はどういう車を求めるのか」を真摯に追求しました。具体的には絶対的室内空間とヒップポイントです。あの高さをムダと感じる人もいるかもしれませんがあれこそが重要。ミニバンの「ステップワゴン」と同じくらいですが女性にとっては運転しやすいんです。

小沢 ライバルのダイハツ・タントよりも高いですか。

白土 高いです。タントは背は同じくらいですがヒップポイントはそれほど高くない。

小沢 安さ優先のクルマづくりとは他社も含めてということですよね。昔、スズキの「アルト」や「ワゴンR」が売れていた時代は、軽の車両価格が2万円上がるだけでもアウトと言われてましたが。

白土 当時のホンダもたぶん回りと同じ考えで軽をつくっていたと思います。軽だからとにかく安くつくるべきだと。でも時代が変わって今は軽でもいいもの、価値のあるものにお金を払うようになってきているんです。

ますますリッターカーっぽいつくりに

小沢 ところで今回新型に乗ってみて、ますます5ナンバーのミニバンみたいだなって思ったんです。乗り心地や力強さ、静かさを含め軽というより"ステップワゴンの軽サイズ版"。それでいて囲まれ感とか質感は同等だしなるほどこりゃ売れるわと。

白土 そうだと思います。

小沢 下手するとフィットが要らないとすら感じるくらい。やっぱり一番のキモは圧倒的な広さですよね。

白土 そうだと思います。それから幅広いお客様に買っていただけるよう、ノーマルとカスタムでデザインを大きく分けました。あえて違うお客様に買っていただけるように。

小沢 それってもともとダイハツのアイデアですよね。ネーミングを含め、これまでだったらやらなかったはず。

白土 おっしゃる通りです。ホンダはそれまでそういったことに拒否感を示してましたが、軽事業を続けるためには絶対必要だと思ってやりました。

小沢 つまりプライドを捨て、ホンダらしさを捨てた部分と逆に守った部分があるんですね。

白土 初代N-BOXを作り始めたころはみんな、このままいくと日本ならではのモノづくりができなくなるんじゃないかという危機感を持っていました。軽がつくれなくなるんじゃないかと。

小沢 たしか軽で後発の日産にも販売で負けかけてましたからね。もはや人真似はやらないとか青くさいことを言っている場合じゃないと(笑)。ところで今回プラットフォームを一新して室内長を2センチ伸ばしてますが、たかが2センチにそこまで価値はあったんでしょうか?

白土 単純に2センチのためだけに新作するのであれば、そんな価値はないと私も言いますが、今回は軽量化も含めてですから。燃費や走りなどすべてに効いてきます。新たに助手席ロングスライドが可能になって車内での会話が進むうえに、奥様がリアシートに子どもを座らせ、そのまま外に出ずに運転席に移れますし、荷室床が下がった分、より自転車が積みやすくなりました。

もう同じ失敗は繰り返せない

小沢 そういえば2013年にタントがフルモデルチェンジしたときに、てっきりN-BOXに対抗して室内長を広げてくると思いましたがダイハツはそうしなかった。でもそれがこれまでの軽の世界ですよね。メーカー都合かもしれないけれど、既存のソリューションを限界まで使い骨をしゃぶるように使い尽くす。質より安さでお客に貢献する。それはそれで軽の正義だった。

でも今回のホンダのフルスイング方式はお客様目線といっても一新した分、価格は高くなっていて、月販目標も1万5000台に増やしていますよね。損益分岐点が上がったわけでそういう意味ではリスクが増えたと思うんです。狙いがハズれたら大コケするんじゃないですか?

白土 おっしゃる通りです。ですから勝算があったうえでやっています。

小沢 プラットホームの完全新作はやりすぎじゃないですか? 現状モデル末期でも売れていたわけで。

白土 やらなければリスクは少ないですが、今までそういうことをやった車種は落ちるんです。3代目で巻き返しできたものもありますが、そのまま消えてなくなった車種も多い。

小沢 いわゆる「オデッセイ」であり、「ストリーム」ですね(笑)。なるほど。ホンダとしてはもう同じ失敗は繰り返せないし、その全力投球っぷりを格下の軽に投球したことこそが今回の新しい成功の方程式だと。

白土 それくらいしないと、ナンバーワンは取れないんですよ。

小沢コージ
 自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』、不定期で『carview!』『VividCar』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

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