睡眠障害に悩む人に朗報 WHOが主要な病気に格上げ

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/10/10
ナショナルジオグラフィック日本版

睡眠障害に悩む人々によりよい医療やサービスを提供できるようになることが期待できる=PIXTA

世界保健機関(WHO)が、ようやく「睡眠障害」を主要な病気(疾病)の1つとして認めることになりそうである。WHOが作成している診断基準の分類において、2018年には睡眠障害が「大分類」に格上げされる見込みなのだ。WHOにおけるメジャーデビューを果たせば、睡眠障害の実態をより的確に把握できるようになったり、睡眠障害に悩む人々によりよい医療やサービスを提供できるようになったりすることが期待できる。患者さんにとっては朗報といえる。

『ICD-11』って知ってますか?

ご存じの読者はかなりの医学通である。

WHOは、現在知られている病気(疾病)をほとんど網羅した診断分類法を作っている。『疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)』がそれだ。医療者の間ではその頭文字を取った略語ICDで通用する。ICD-11は2018年登場予定の第11版である。

初っぱなから堅そうな話になったが、ICD-11と現在使われている第10版(ICD-10)との違いを知っていただけば、睡眠障害がようやく一人前扱いされることになった理由がお分かりいただけるので、もう少しおつき合いください。

医療先進国はもちろんのこと、世界193カ国でICDは使われており、いわば病気の公式総合目録である。ICDを使うことで、例えば、ある病気の患者数やその変化、国際間での比較などができるため、診療のほか、疫学調査や保健活動、社会保障制度の運営など医学活動全般になくてはならないツールとなっている。数年前にエボラ出血熱が話題になったが、世界中の感染症の動向などもすべてICDに準拠してWHOに報告されている。

日本では、今から100年以上も前、ICDが最初に制定された1900年の初版から採用しており、カルテ記載や診療報酬(レセプト)の請求をはじめ、臨床研究、医学教育などで幅広くICDが使われてきた。

初版以降も医学の進展と合わせてICDの改訂が続けられ、現在使われている第10版(ICD-10)が作成されたのが1990年である。ところが、すでにそれから27年が経過しているため、医学的に見てかなりおかしな点が目立つようになってきた。

ICD-11では睡眠障害が「大分類」に格上げ

その最たるものの1つが睡眠障害である。ICD-11とICD-10の対照表を見てもらえば分かるが、そもそもICD-10では大分類に睡眠障害がなかった。1990年当時でさえ、すでに70種類以上の睡眠障害が確定され、専門家による診断基準や治療マニュアルなども作成されていたにもかかわらず、である。

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