WOMAN SMART

キャリア

本当にそれが大事なこと? 価値観エクササイズの勧め “もったいない”脱出の仕事術

2017/9/26

(写真:Keri Iwata)

コミュニケーションコーチの岩田ヘレンです。あなたは日々の生活の中で「自分にとって大事なこと」と思っているのに、実際はそのための行動を起こせていないと感じることはありませんか?

例えば私の場合、長い間「家族」が自分にとってとても大事でした。しかし現実は、仕事を頑張りすぎて家族のことは後回しになってしまうことがよくありました。そのため、どんなに仕事が順調でも、大事なことができていないというフラストレーションが常にありました。

自分にとって大事なこと、重要な概念は「価値観(values)」として表すことができます。自分の価値観と行動が一致していないとフラストレーションの原因になります。これもまた、実に「もったいない」状況といえます。

なぜこんなことが起きるかというと、ある価値観を大事にすることで別の価値観が犠牲になるため。自分の中で価値観同士の競合が起きるためです。

私自身がこのことに気づいたのは、実はほんの数年前でした。最近では価値観について注目し、勉強する企業や個人が増えています。欧米の企業には、企業のミッション(使命)と併せて企業の価値観についても公表しているところがたくさんあります。

今回は、自分の価値観と行動のずれを取り除くために、簡単な「エクササイズ」をしてみようというお話です。

■「価値観」とそのための「行動」をセットで考える

まず、自分の価値観とは何なのかについて理解します。

自分の価値観を理解するためのやり方はいろいろありますが、一般的なのは、様々な言葉のリストから重要だと思う言葉をいくつか選んでいくものです。冒頭の写真のように、価値観が1つずつ書かれたたくさんのカードを使う方法もあります(写真のカードは、私の友人でコーチングのエキスパートであるRebeccaが作ってくれたものです。彼女は8月にいわき湯本温泉で実施したリトリートでファシリテーターも務めてくれました)。

例えば下の言葉群の中から、あなたにとって大事だと思えるものをまず5つ選んでみてください。5つに絞るのが難しければもっとたくさん選び、そこから絞ってもよいです。逆に、5つも選ぶのが難しければ3つでも2つでもかまいません。リストになくても自分にとって大事な価値観を表す言葉を思い付いたら、自由に追加してOKです。

ACHIEVEMENT(達成) ADAPTABILITY(順応性) AESTHETICS(美学) CONTRIBUTION(貢献) CREATIVITY(創造性) CURIOSITY(好奇心) DIGNITY(尊厳) FAIRNESS(公正) FAMILY(家族) HEALTH(健康) HONOUR(名誉) HUMANITY(人間性) INDEPENDENCE(自立) INTIMACY(親密さ) INTUITION(直観) KINDNESS(やさしさ) KNOWLEDGE(知識) LEADERSHIP(リーダーシップ) LOVE(愛情) MASTERY(熟達) POTENTIAL(可能性) RELIABILITY(信頼) REPUTATION(名声) SUCCESS(成功) TRANQUILITY(平静) VARIETY(多様さ) WEALTH(富) WISDOM(知恵)

選んだら、さらにそれらに順位付けをします。

ちなみに、現在の私の価値観ベスト5は次のようなものです(カッコの中は私にとっての意味)。

1.LOVE(家族、友人、仕事のパートナーなどへの愛)

2.WELLBEING(健康と幸せ)

3.WISDOM(知恵、知識、情報)

4.JOY(楽しさ、喜び)

5.CREATIVITY(創造性)

さて、ここからが肝心な「行動」についてのエクササイズです。

選んだそれぞれの価値観について、それを大事にしたり実現したりするための行動を2、3個ずつ考えます。すぐできるような簡単な行動にするのがポイントです。

例として私の価値観と行動を挙げてみます。「LOVE」のための行動として「家族が大好きなスコーンを焼く」。「CREATIVITY」の行動としては「金色のペンを使う」(メモを書くときに金色のインクで線を引いたりマークを書いたりするとワクワクして創造的な気分になります)。

さらに「WISDOM」の行動として、今日はたまっていたメールの整理をしました。メールからの様々な知識や情報を得やすくなるからです。このように、多少こじつけでもいいのです。どんな行動をするかを考えること自体が脳のトレーニングになりますし、小さいことでも実行できれば達成感が得られてストレスが吹き飛びます。

自分の価値観のリストを作ったら、できるだけ見やすいところに置いて毎朝見るようにします。そして、毎日1つの価値観を選び、そのための行動をします。繰り返しになりますが、行動はあくまで簡単なものにすること。「毎日必ず○○しなければならない」などと考えたら続けられません。行動は思いついたら途中で追加してもいいし、変更したり廃止したりするのも自由です。これが正しいとか、正しくないということは全くありません。

自分の価値観を認識し、それを実現する小さな行動を意識して実行することで、それまで感じていた無用な焦燥感やプレッシャーが消えていくのを実感できるはずです。

◇  ◇  ◇

個人の価値観は生涯ほぼ変わらないといわれています。ただし、その順番、優先度は変わります。

私の場合、自分のキャリアにおいて長い間、ACHIEVEMENT(達成)がとても重要でした。自分の仕事がどう評価されるか、他人が自分をどう見ているかがとても重要なことだったのですが、最近やっと成長してそれほど重要ではなくなりました。ですからACHIEVEMENTという価値観の順位はかなり下のほうになりました。

価値観のエクササイズをやってみると、きっといろいろな発見があるはずです。実際にやってみて何が起きたか、ぜひメールで教えてください。また、日ごろ悩んでいること、知りたいテーマについてもお知らせください。楽しみにお待ちしています。

岩田ヘレン
グローバル・コミュニケーション・コーチ。英ヨークシャー出身、さすがコミュニケーションズ代表。ウイズ株式会社 アドバイザー。日本翻訳者協会理事長、マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社コミュニケーション・マネージャーなどを経て2013年にさすがコミュニケーションズ設立。グローバル・ビジネスを想定した企業向けのコミュニケーション・スキル研修などを実施している。著書に「英語の仕事術 グローバル・ビジネスのコミュニケーション」(小学館)。メールは helen@sasugacommunications.com

WOMAN SMART 新着記事

WOMAN SMART 注目トピックス
日経DUAL
花粉症から子どもを守る 発症前の予防ノウハウ
日経doors
グラレコは「第2の言語」 図解スキルでオンリーワン
日経ARIA
白髪は「サロン染め」がベスト 失敗しないオーダー
日経DUAL
モンテッソーリ教育「カエルのお母さん」の落とし穴
ALL CHANNEL