iPhone新機種のびっくりとがっかり 識者3人に聞く

AR(拡張現実)については、iOSに「ARを生かしたアプリ」が最初から搭載されると予想していたのだが、そうではなく、サードパーティー任せでスタートする印象が強い。ARはゲームだけでなく、より広い可能性を秘めたものなので、スタート時点で「これは」という提案が欲しかった。

西田宗千佳
フリージャーナリスト。1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。NIKKEI STYLEに「西田宗千佳のデジタル未来図」を連載中。

磯氏:便利な無線充電、驚きに欠けたX

発表会のあと、iPhone 8を1週間ほど試用した。予想以上に快適だったのが、ガラスの素材とワイヤレス充電だった。

実際に手に持ってみるとわかるのだが、ガラスの背面はiPhone 7以前の素材に比べると滑らず、持ち歩くときの安心感は強くなった。落としたときに備えてケースを付けている人が多いが、どうしてもかさばる。ケースを付けずに使う人が増えるのではないだろうか。

ガラス素材に変わったiPhone 8/8 Plus。ワイヤレス充電のための変更だが持ちやすくなった

ワイヤレス充電も便利だった。発表会ではbelkinの高性能充電パッドを試用したが、手軽さと早さを両立していると感じた。ワイヤレス充電に対応したスマホは他社からも出ているが、販売台数が多いiPhoneが採用したことでさまざまな可能性が広がると思う。たとえばカフェやファストフード店で、コンセントではなく充電パッドを設置する店が一気に増えるのではないか。今は多くの人がモバイルバッテリーを持ち歩いているが、街の至る所でスマホの充電ができる、バッテリー切れを心配しなくていい世界が近づいているのかもしれない。

2018年に登場するAirPowerマットを使うと、iPhone、Apple Watch、AirPodsを同時に充電できる

残念だったのは、発表に驚きがなかったことだ。アップルの責任ではないが、満を持して登場したiPhone Xは、事前にリークされていた情報通りだった。スティーブ・ジョブズ・シアターでの発表会にも参加したが、恒例の「One more thing……」のあとにiPhone Xが登場したときの会場の雰囲気は、これまでに比べるとどこか冷めているようにも感じた。

実際に手にしてみると、縦長になったiPhoneXは、8 Plus以上のパネルサイズを実現しながら持ちやすかった。パネルがより高精細な有機ELになったことで、表示も鮮やかで美しかった。ただ、これはGalaxyを持ったときも同じ。ベゼルをなくすことで、デザインはどうしても似てしまう。

縦長になったディスプレーで気になるのは、既存のアプリを利用した際の挙動だ。横長のテレビでアナログ地上波を見たときのようになるのだろうか。また、ホームボタンのないiPhone Xは、画面の上下からスワイプする動作が増えるのだが、画面が長いだけに片手で操作するのは難しいかもしれない。

もちろん使い込めば良さが見えてくるだろう。だが、iPhone Xの大きな特徴であるAIや機械学習などがもたらす威力は、発表会後のタッチ&トライで触っただけでは体感できなかった。アップルが威信をかけて投入するiPhoneの最上位機ではあるものの、現時点では真の実力がもやに包まれたかのようにすべて見通せないのが気になる。実機を手にして試せるときまで、ドキドキはお預けとなりそうだ。

磯修
1971年生まれ。「日経トレンディネット」にて、デジタルカメラやイメージングデバイス、アップル&スマートフォン関連、リユース&中古市場を中心とした分野の取材・執筆を手がける。
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