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「睡眠負債」で認知症に? ぐっすり睡眠で脳をお掃除

日経ウーマン

2017/9/25

日経ウーマン

「睡眠負債」という言葉が注目されている。睡眠不足のまま過ごしていると、不足が積み重なって「負債」となり、体にいろいろな不調をもたらす、というのだ。「私は短時間睡眠で平気なタイプ」と思っていても、下のチェックリストに当てはまるなら睡眠負債がある可能性が大。

「眠っている時間は何もできないので無駄だ、削りたい、と考える人もいますが、睡眠には大切な役割があります」と話すのは、スタンフォード大学医学部教授の西野精治さん。「体と心を休める。記憶を整理して定着させる。体の再生に欠かせない成長ホルモンを分泌させる。免疫力を上げる。さらに、脳にたまる老廃物を取り除く。これら睡眠の役割は、睡眠時間が不十分だと果たされません。その結果、太ったり、肌がカサついたり、風邪を引きやすくなったり。認知症のリスクが高まる可能性もあります」(西野さん)

睡眠の「量」に加えて大切なのが、睡眠の「質」。「睡眠の質が落ちると、7時間半しっかり寝ているのに体がだるい、日中眠くなる、と感じます」(快眠セラピストの三橋美穂さん)。睡眠の質を確保する具体策を紹介しよう。

■チェックリスト あなたの睡眠の量は足りている?
1つでも当てはまれば睡眠負債がたまっているかも。

□ 午前中(10~12時)に眠気を感じる
本来、午前10~12時は脳がよく働く時間。「この時間帯に眠いのは、睡眠時間が足りない証しです」
□ 朝起きたときにだるさを感じる、頭がぼんやりする
朝は自律神経のうちでも活動的な「交感神経」の働きが高まる時間。だるさやぼんやり感はないはずだ。
□ 平日の睡眠時間は6時間未満だ
自分は短時間睡眠でも平気なタイプだと信じている人もいるが、「多くの人は7時間半ほどの睡眠が必要」。
□ 帰りの電車(深夜以外)で眠くなる
「深夜は別として、夜の18時から21時くらいの電車に揺られて眠くなるという人は、睡眠が不足しています」
□ 休日にアラームを使わないと2時間以上寝坊する
休日でも、いつも通りの時間にアラームを使わなくても目が覚めるようなら、普段から睡眠が足りている。
(チェックリスト:三橋さんの取材を基に編集部で作成)
「アミロイドβ」とは:脳で作られる老廃物。健康な人なら作られてもスムーズに排出されるが、排出されずに脳内に蓄積すると神経細胞を傷め、アルツハイマー型認知症の原因に
目を閉じて10分未満で眠りに落ち、90分間、最も深い眠りが訪れる。最初の90分間に深く眠れないと、その後の眠りの質も悪くなる(図版:西野さん)
(イラスト:中根ゆたか)

■ぐっすり睡眠のために夜できること

1.「吸う:止める:吐く=4:4:8」の呼吸でリラックスモードに切り替える

眠りが深くなるとき、自律神経のうち活動モードの交感神経の活動が弱まり、リラックスモードの副交感神経の活動は高くなる。ただし「心配事があったりすると、自律神経がうまく切り替わらない。意識的に切り替えるには、呼吸のリズムを使うといい。吸う:止める:吐くを、4:4:8でカウントして」(三橋さん)。

2.時間があるときは寝る90分前までにお風呂に入る

眠りを深くするためのカギが体温。「体の奥の体温(深部体温)が下がると眠気が訪れる。そのため、手足の表面が熱くなって熱を放散する」(西野さん)。深部体温は上げられた分だけ下がる性質があるため、「入浴して深部体温を上げておくと眠りやすくなる。ただし、体温が下がるまでに時間がかかるので、入浴は寝る90分前までに。すぐに寝たいときはシャワーがいい」

(図版:西野さん)

3.頭や体の熱をスムーズに下げる

体の奥の体温(深部体温)を下げるために体の表面から熱を放散しようとしても、夏は温度も湿度も高いため放散しにくい。「吸湿性と通気性が高い敷きパッドを選ぶことが大切です。い草や麻の素材は優れている。また、立体構造で通気性がある敷きパッドもおすすめです」(三橋さん)

4.短時間しか眠れないときは、まず眠って早起き

「睡眠時間を削ってでもするべきことがある夜は、眠気と闘いながら無理に作業するのはNG。眠気が来たときに、アラームをセットして90分~100分間寝て、早起きして作業しましょう。深い眠りが取れて頭がすっきりするはず」(西野さん)

(イラスト:中根ゆたか)

■ぐっすり睡眠のために朝・昼できること

1.空気清浄機を寝室に置く

「寝室は、寝具から出る繊維クズ、ダニやフケ、あかなどハウスダストが多い空間。しかも過ごす時間は7時間以上です。眠っているときの空気をきれいにすると、体に異物除去という余計な仕事をさせずに済むため、眠りが深くなることが期待できます」(三橋さん)

2.朝はいつも同じ時刻に起きて日の光を浴びる

夜ぐっすり眠るためには、朝しっかり体が目覚めることも大切だ。「人には体内時計が備わっており、体内時計では1日が24.2時間だといわれる。少しずつ遅れがちな体内時計をリセットするのは、朝浴びる日の光。雨や曇りで太陽が見えなくても光量は十分なので、数分間明るいところで過ごしましょう」(西野さん)

3.朝風呂は×、シャワーを

夜寝る前に風呂に入ったほうがいいのは、体温を「上げて下げる」効果があるから。そのため、朝に風呂に入ると、体温を「上げて下げる」働きで、活動したい時間なのに眠くなってしまうので、あまりおすすめできない。「頭も体もシャキッとさせたい朝は、シャワーがいい。また、皮膚温が下がると覚醒するので、手を冷たい水で洗う、歯磨きを冷たい水で、というのもいいです」(西野さん)

この人たちに聞きました

三橋美穂さん
快眠セラピスト。寝具メーカーの商品開発を経て独立。講演や執筆活動を通して眠りの大切さを啓発。日本語版を監修した「おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本」(飛鳥新社)が大ヒット。
西野精治さん
スタンフォード大学医学部教授。1955年大阪府生まれ。同大学睡眠生体リズム研究所(SCNラボ)所長。専門は突然眠りに落ちる過眠症・ナルコプレシ―。近著は」スタンフォード式 最高の睡眠」(サンマーク)。

[日経ウーマン 2017年9月号の記事を再構成]

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