不安は永遠には続かない 心配性を抜け出す2つのコツ
仕事でミスを連発してしまった。頑張っているのに何をやってもうまくいかない。良かれと思ってやったことで、事態を悪化させてしまった。思いもよらぬクレームや批判を受けてへこんだ……。特に、こういったことが続くと心配し過ぎのスパイラルから抜け出せなくなることがあります。
ある程度の心配は誰でもするものですし、心配することにはメリットもあります。
メリットの一つは、リスクを事前に予測することで、対策を立てられること。心配を上手に活用することで、リスクマネジメント力を鍛えることができます。
メリットの二つ目は、あらかじめネガティブな結果を予測しておくことで、精神的ダメージを少なくすることができること。突然最悪なことが振り掛かってくるよりは、あらかじめ想定しておくことで「想定の範囲内」に収めることができます。
ただ、心配し過ぎると、デメリットのほうが大きくなってしまいます。一番のデメリットは、ストレスをため過ぎてしまうこと。心配し過ぎると、呼吸が浅くなり、気持ちも休まらず、夜もよく眠れなくなってしまいます。その結果、頭も心も体もスッキリしない状態を引きずってしまうのです。
さらに、一度心配し過ぎのスパイラルにはまってしまうと、自力で抜け出すことが難しいのです。何をしても楽しめない、何を食べてもおいしく感じられない、誰に会ってどこに行っても心から安らげないといった状態が続くと、本当にしんどいですよね。
今回は、心配し過ぎのスパイラルから抜け出す二つのコツをご紹介しましょう。
コツその1 「5年後」を考えてみる
心配し過ぎてしまうときは、イヤなことや大変なことが永遠に続くと思い込んでしまいがちです。一般的に、心配し過ぎな人は、「ポジティブなことは一時的にしか続かない」と考え、「ネガティブなことは永続的に続く」と考える傾向があります。
考え方で行き詰まってしまった場合の対策の一つとして、コーチングでは「時間をずらす」という考え方をします。
「5年後に、同じ問題について心配している?」と、自分に問いかけてみるのです。
数カ月から1年もすれば、たいていのことは解決するか、気にならない程さまつなことになっていることが多いのです。今、あなたが心配していることは、長くは続かない「一時的なもの」。
それでも、心配が止まらないときは、「ところで、5年前はどんなことについて心配していた?」と、再度自分に問いかけてみてください。
すると、気が付くはずです。ほとんどの方は、どんなことについて心配していたか思い出せないのではないでしょうか。
今、あなたがうまくいっていなくて、心配事で占拠されているように感じているとしても、大丈夫。その原因がすべてあなたにあるわけではありません。運が悪かったこともあれば、時が解決してくれることも少なからずあります。今の心配事に関して、5年後も同じように心配し続けているということは、まずないので安心してください。
コツその2 「本当はどうしたかったか?」を明確にする
それでもまだ心配し過ぎてしまうときは、心配を引きずらないためにも、次のようなことを自分に問いかけてみましょう。
「本当は、どうしたかったか?」
「本当は、どうしてほしかったのか?」
「本当は、どんなことを期待していたのか?」
実は、「期待と現実」のズレが続くことが、心配をし過ぎてしまう要因の一つになっています。あなたが、心配をし過ぎているということは、何かしらあなたの期待とズレていることがあるのです。
そして、人は「本当はどうしたかったか?」という期待を、自分自身でも認識していないことのほうが多いのです。そのズレを無視したまま先に進もうとすると、さらにズレが広がってしまい修正が難しくなります。「心配」は、期待と現実がズレていることを教えてくれるサインになっている場合があります。
テニスやゴルフの試合で、ミスショットした選手が直後に素振りをすることがあります。これは、ミスショットという期待と現実にズレが生じたときに、「本当は、こう打ちたかった」というイメージで、直ちに素振りをすることで修正しているのです。そうすることで、「うまくいかないのではないか」という心配を断ち切り、「いいイメージ」に気持ちを切り替えることができるのです。
心配し過ぎのスパイラルに入ってしまったときは、「本当はこうしたかった」「本当はこうしてほしかった」というあなたの期待を言葉にします。そして、スポーツ選手が素振りをするように理想型をイメージすることで、ズレが修正でき、思考や気持ちを切り替えることができます。
もちろん理想は、心配なんてしないで日々気分良く過ごせたら最高です。けれど、理想を一方的に押し付けて、自分で自分の首をさらに締めているのだとしたら本末転倒。
心配になってあれこれ悩んでもいいんです。人間なんですから、心配することくらい誰だってあります。あなたが気分よく過ごせる時間が少しでも増えるヒントになれば幸いです。
メンタルコーチ・問題解決の専門家。国家公務員試験を首席合格。裁判所書記官として、年間2000件の裁判記録を扱う中で問題解決のある法則を発見し、独立。教育団体、女性団体、外国人リーダー向けに、講演・研修を実施。無職だった夫をベストセラー作家にした手法が注目され、女性経営者など2300人以上の問題解決に携わる。著書に夫婦初共著となる「ダラダラ気分を一瞬で変える 小さな習慣」(サンクチュアリ出版)。
[nikkei WOMAN Online 2017年8月22日付記事を再構成]
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