目指すは「ランボルギーニ」 カーボン製の無水調理鍋
土鍋やホーロー鍋、高級炊飯器などおいしいご飯を炊く選択肢は多い。そんな炊飯戦争に終止符を打つ鍋として開発されたのが、高い熱伝導性と遠赤外線効果を持つカーボン製の無水調理鍋「カーボンポット オーバル」だ。
開発元は、工業製品を扱う穴織カーボン。実は2006年に発売され高級炊飯器の火付け役となった三菱電機「本炭釜シリーズ」の内釜を手がけていたが、コスト面の課題から2年前に供給を終了。培った技術を眠らせないために、自社製品の開発に乗り出した。
圧縮した純度99.9%のカーボンの塊から削り出す。最終的に職人が精密な調整を行い各部の精度を保持する。また、カーボンの軽さを生かし、厚さを持たせることで蓄熱性を高めている。
優れた遠赤効果を持ち大火力を生むカーボン素材に加え、米の対流を起こす形状や圧力を保つ重い蓋など、炊飯に必要不可欠な工夫が随所に盛り込まれている。内側はセラミックコートされており、煮物や焼き物にも使える。
驚いたのが、レシピ通り作ると「浸水」工程が不要になる点だ。「浸水をせずとも芯を残さず火が通る」(穴織カーボン)とのことで、実際に米を炊いてみたところ、想像以上にしっかりと炊き上がった。出来上がった米は一粒一粒の存在を強く感じ、香りも高く、うまみと甘みが強い印象だった。肉厚のハンバーグも作ってみたところ、表面が焦げ過ぎることなく中まで火が通った。ふっくらした食感は、遠赤効果の高いカーボンならではの仕上がりだ。
カーボン製の無水調理鍋としては世界初の存在で、価格は7万5600円(税込み)と電気機構のない鍋としては超高級。「鍋界のランボルギーニを作る」(同社)と開発の狙いを語る通り、高い魅力を持つ唯一無二の製品といえる。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2017年9月号の記事を再構成]
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