投資は深い お金と幸せの関係を考える(藤野英人)レオス・キャピタルワークス社長兼最高投資責任者

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「お金と幸せの関係を考えることは、投資の意味を考える際にも役立つ、重要なテーマだ」

「宝くじ当たらないかなあ」「お金があったらもう働かなくていいのになあ」――。なんて言葉、よく聞きますよね。では、お金があればそれで幸せなのでしょうか。これは投資の意味を考える際にも役立つ、重要なテーマなので少しばかり説明しましょう。

お金があれば幸せなのかは、具体的に「お金がある」状況を考えてみるとわかりやすいかもしれません。例えば、私の場合。「お金がたくさんあったとして、欲しいものは何?」と問われたら、たぶん「スタインウェイのピアノ」と答えます。ですが、そのドイツ製の最高級ピアノが手に入ったとして、それで幸せか、といわれたらやっぱり違う。

人生でお金はそこそこあればいい

なぜならば、スタインウェイのピアノを弾きこなすだけの腕前がなくては意味がないからです。楽器を眺めているだけでは寂しいですよね。演奏のスキルを身につけるには、すさまじい鍛錬が必要となります。膨大な練習時間を割かないといけないほか、その練習には集中力、体力も必要となるでしょう。そんなわけで私にとってのスタインウェイは、まだ遠い夢となっています。

人生で「時間」「体力」「お金」、この3つが同時にそろうことはめったにないらしいです。時間と体力がある若いうちはお金がなく、地位を得てお金を手に入れたときには時間がなかったり、健康を損なっていたりします。人はついつい無いものねだりをし、所与のものの価値については軽く考えてしまいがちです。

今、あなたは3つの要素のうちどれを持っていて、どれを持っていないのか。そのバランスはどうか、改めてチェックしてみてください。働き盛りの世代は時間や健康と比べると、お金の優先度は意外と低くないでしょうか。「お金はそこそこあればいい」という人が多いはずです。

お金と幸せの関係を考えるときに、よく紹介されるデータがあります。ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のダニエル・カーネマン教授らが2010年に発表した調査データです。ある一定の水準を超えると年収が上がったからといって、必ずしも幸福感が上がるとはいえないというもので、そのボーダーラインは7万5000ドルといわれています。当時の為替相場を考慮して1ドル=100円で邦貨換算すると、750万円になります。

つまり、年収が750万円以下なら収入が上がれば幸福感も上がっていくのですが、750万円を超えると「稼げば稼ぐほどハッピーになれる」わけではないということです。お金がたくさんあるからといって幸せとはいえないということですね。

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