「簡単!どこでも瞑想」 イライラ・クヨクヨを即解消
「体がダルい」「会社に行きたくない」「ミスしてへこむ」……。そんなネガティブな気持ちが止まらないときは、「今、ここ」に意識を集中させ、頭を空っぽにする瞑想(めいそう)が一番!忙しい働く女性でも簡単に、1分からできる瞑想のやり方を伝授します。早速今日からトライ!
「今」に集中することで悩みスパイラルから脱出
「人は常に何かを考え、悩んでしまう生き物」だと話すのは、関西学院大学教授の有光興記さん。そこで有効なのが、「瞑想」だという。「いったんネガティブな気持ちが出てくると、過去の失敗を思い出したり、未来が漠然と不安になったり……。『心、ここにあらず』の状態になりがち。瞑想で今の感覚に意識を向け、負の考えの連鎖を断ち切ることが大切です」。たとえ忙しくても、通勤中や、食事中など、瞑想はいつでもできるそう。「毎日続ければ、すぐに効果を実感できますよ」
【7:00am】 体がダルい、生理痛でおなかが痛い、起きるのがつらい…
寝たまま瞑想
起きた瞬間、体のだるさや痛みを感じて気持ちが落ちるときは、寝たまま自分の体の感覚だけに集中を。心拍、手のしびれ、痛み……。何を感じても、体は動かさず放置して。不快な感覚をネガティブな気持ちにつなげない。
[やり方]
1.布団の上であおむけになる
掛け布団を取り、ベッドの上であおむけに。手足を軽く広げ、楽な姿勢を取る。二度寝しそうな人は、椅子に座ってもOK。
2.自分の体に意識を向ける
体を動かさずじっとして、呼吸や心拍、各部位の疲れや痛みなど、自分の体のあらゆる感覚に気づきを向ける。
3.気づきを心のなかでつぶやく
「痛み」「かゆみ」「しびれ」など、気づいたことを心のなかで実況中継する。ただ感じるだけで、体は反応させない。
[POINT]瞑想中の雑念はこうして対処!
瞑想中、「おなかがすいた」などと雑念が出てきたら、「これは雑念」と心のなかで唱え、もう一度瞑想に集中を。「何かを考えだすと、無意識にネガティブな気持ちに陥りがち。雑念から考えを深めず、意識を『今』に戻すことが大切です」
【8:00am】 会社に行きたくない、今日締め切りの資料、間に合わなそう、まだ火曜日かあ…
歩いて瞑想
通勤中、歩いて瞑想することも可能。「出社前にあれこれと仕事のことを思い浮かべ、不安になりがちな人におすすめ」。人通りの少ない道を選び、足の裏で地面を踏み締める感覚に集中しよう。
[やり方]
1.かかとから着地し、足の裏全体を使って歩く
歩くときはかかとから着地し、足の裏全体が地面に着いたり、離れたりする感覚に集中する。ペタンコ靴など、ヒールの低い靴を選ぶと、地面を感じやすい。
2.1呼吸で3歩進む程度の速さを意識
歩く速さは、1呼吸で3歩進む程度のゆっくりペースで。駅など人通りが多く、周囲に配慮が必要な場所は避ける。
3.目に入ってきた景色を実況する
「蝉の声」「木漏れ日」「きれいな花」など、目に入るモノを心のなかで実況するのも◎。通勤が楽しくなるはず。
【3:00pm】 甘い物が食べたい~、メール返信遅いなあ、もう、だから言ったのに!
食べて瞑想
仕事中、あれこれ考えながら間食すると、つい食べ過ぎてしまうことも。「食べ物の形、色、匂い、口に入れたときの感覚に集中する瞑想なら、一口でも満足感を得られ、心もすっきりしますよ」
[やり方]
1.レーズンやナッツを用意する
ケーキなど、複数の味が混ざったものだと集中しづらい。レーズンやナッツなど、できるだけ素材に近いものを選んで。
2.手に取って観察する
まずは1粒を手に取り、色や形を観察。「柔らかい」など、感触にも集中。
3.香りを嗅ぐ
食べ物を鼻に近づけ、じっくり香りを嗅ごう。「香ばしい」「甘酸っぱい」など、香りを胸の奥までしっかり吸い込むといい。
4.口に入れ、ゆっくりかむ
口に入れて、ひとかみ。甘みや苦み、硬さなどを感じて。かむごとに味や食感が変わることに気づくはず。
【10:00pm】 仕事のミス、へこむわ~、あんな言い方しなければよかった、明日朝イチのクレーム対応、やりたくない…
座って瞑想
仕事での失敗や人間関係のトラブルを思い出し、感情的になりがちな夜は、座りながら瞑想を。「普段、一瞬で行う座る動作を、不自然なくらいゆっくりやることで、意識が座ることに集中。頭からモヤモヤが消えます」。
[やり方]
1.椅子の前に立ち、ゆっくり腰を下ろしていく
椅子の前に立ち、「座ります」「座ります」と心のなかで唱えながら、1分以上かけて少しずつ腰を下ろしていく。
2.座るまでの動作を実況する
中腰の姿勢は足腰に負荷がかかり、太ももに震えも。「痛み」「震え」など、感じたことは心のなかでつぶやいて。「つらい」「もう無理」など、感情を入れるのはNG。
3.姿勢を正し、呼吸に意識を向ける
椅子に腰をかけると、それまで感じていた足腰の痛みから解放され、リラックスできる。姿勢を正し、ゆったりと鼻呼吸をしよう。「鼻から出入りする空気の流れを感じて」
この人に聞きました
関西学院大学文学部総合心理科学科教授。博士(心理学)、臨床心理士。専門は臨床心理学、社会心理学。ストレスや抑うつ、不安に悩む子供・成人を対象に、ソーシャルスキルトレーニング、認知行動療法、マインドフルネス瞑想を実践。「図解 マインドフルネス瞑想がよくわかる本」(講談社)を監修。
(イラスト 中根ゆたか)
[日経ウーマン 2017年9月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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