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ヒット続く「伝え方」本 新顔の筆者はテレビマン リブロ汐留シオサイト店

2017/9/15

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。ここ汐留でも8月下旬刊行の業界研究本が好調な売れ行きを示す。一方、9月に入っての新刊からは、まだ飛びぬけた存在が出てこない。そんな中、売り上げのトップに立ったのは、日本テレビのニュース番組などを手がける番組プロデューサーによる発想術の本だった。

■ニュース特集制作者の「伝え方」

その本は藤田亨『「伝わるコトバ」の作り方』(KKロングセラーズ)。藤田氏は日本テレビの「真相報道バンキシャ!」の番組構成、「ニュース・エブリィ」の特集プロデューサーなどを務める。テレビ番組作りを通じて身につけた「目の前の人の心を掴(つか)むための、テクニックのようなもの」をまとめたのがこの本だ。

伝え方に注目した本は2013年のベストセラー、佐々木圭一『伝え方が9割』(ダイヤモンド社)があるし、16年のベストセラー、梅田悟司『「言葉にできる」は武器になる。』(日本経済新聞出版社)もある。どちらも今なお本に動きがあるロングセラーだ。『伝え方が9割』など、著者が登場するテレビ番組が放送されて、先週は同書店のベスト10に食い込んだ。この2冊の著者はいずれもコピーライターだったが、今度はテレビマンの登場。「伝え方」に頭を悩ますビジネスパーソンはいつもたくさんいて、伝え方のプロからその秘訣の一端でも学びたくて仕方がないらしい。

■スキル寄りのつくり、練習法も

コミュニケーションツール、スキルとしての言葉ではなく、その背後に奥行きをつくる思考を深めるにはどうすればよいかという点に踏み込んだ『「言葉にできる」は武器になる。』とは違って、本書はスキル寄りのつくりだ。さらに、伝える相手の立場に立って考えるという視点を強く打ち出している。青山学院大学で企画づくりを教える授業を持っていることから、4章構成の最後には「もっと多くの人に、効果的に伝えるためのレッスン」という練習の仕方を伝授する章もあり、悩める人にとってはとり付きやすい内容になっている。

テレビマン、それもニュース番組の特集コーナーを数多くつくってきた人だけに、作ったものが視聴者に伝わった成功例や逆に伝わらなかった失敗例などのリアルな体験談が満載で、興味を引く。取材で出会ったコミュニケーションの達人たちのエピソードもちりばめられていて、こちらも具体的でおもしろい。テレビニュースは言葉だけで勝負するわけではないのに、意外なほど言葉にこだわって伝え方のノウハウにまとめてもいる。

「発売直後にすぐに売れ出して、一時店頭在庫が切れてしまった。再入荷してからはずっとよく売れている」と店長の三浦健さん。前回8月中旬に訪れたときはちょうどその品切れのときだった。日本テレビのお膝元にある書店でもあり、好調な売れ行きはしばらく続くかもしれない。

■大前研一氏の新刊も好調

それでは先週のベスト5を見ておこう。

(1)「伝わるコトバ」の作り方藤田亨著(KKロングセラーズ)
(2)武器としての経済学大前研一著(小学館)
(3)多動力堀江貴文著(幻冬舎)
(4)会社四季報業界地図 2018年版東洋経済新報社編(東洋経済新報社)
(5)いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン大塚雄介著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

(リブロ汐留シオサイト店、2017年9月4~10日)

1位は『「伝わるコトバ」の作り方』。2位には大前研一氏の新刊が入った。前回は7月刊行の別の本が4位に入っており、汐留でも同氏の人気は高い。3位は『多動力』で、4位は業界研究本。5位は3月刊のビットコインとブロックチェーンの解説本。ビットコイン分裂騒動や中国での規制強化など関連したニュースが相次いでいることから、関心が高まっているようだ。

(水柿武志)

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